NTTデータは7月7日、気候変動対応ビジョン「NTT DATA Carbon-neutral Vision 2050」を改訂し、新たに長期目標として「2050年までにネットゼロを実現する」ことなどを追加で設定したことを発表した。
同社はこのビジョンを基に、自社サプライチェーンを含む温室効果ガス排出量の削減やグリーンイノベーションを進め、顧客と社会全体のネットゼロ(大気中に排出される温室効果ガスと大気中から除去される温室効果ガスが同量でバランスが取れている状況)に貢献していく方針だという。
「2050年ネットゼロ実現」の目標としては、Scope1・2・3(Scope1:燃料の燃焼など、事業者自らによる温室効果ガスの直接排出、Scope2:他社から供給された電気、熱、蒸気の使用に伴う間接排出、Scope3:Scope1、Scope2以外の間接排出)の温室効果ガス排出量の90%以上を削減し、残り10%弱についてSBTiの定めるカーボン除去を行うことなどによって実現するという。
同社は、2050年までの目標をより確実に実現するため、「2040年にScope1、2のカーボンニュートラル」という中期目標も設定しており、自社サプライチェーンを含む温室効果ガス排出量の削減やグリーンイノベーションを進め、お客さまと社会全体のネットゼロに貢献していきたいという。
「2050年ネットゼロ」に向けたNTTデータの具体的な取り組みとしては、「自社排出削減とICT業界のカーボンニュートラル推進」「サプライチェーンを通じた温室効果ガス排出削減」「温室効果ガス排出削減の取り組み」の3点を挙げている。
「自社排出削減とICT業界のカーボンニュートラル推進」については、同社は各事業分野、国内外グループ会社と連携し、自社の温室効果ガス排出量削減の取り組みを進めているという。2030年までに省エネ化を進め、自社サービスのデータセンターの使用電力を100%再生可能エネルギーとすることを目指している。また、データセンターに関する取り組みだけでなく、ソフトウェアの観点からも消費電力の低減や効率的な電力利用、集約等によるハードウェア利用の削減についても取り組みを進めている。
「サプライチェーンを通じた温室効果ガス排出削減」について、同社は、2022年4月より、日本で初めて国際環境NGOであるCDPによるCDPサプライチェーンプログラムにプレミアムメンバーとして参加し、サプライチェーン全体を巻き込んだ温室効果ガス排出削減によるカーボンニュートラルを進めているという。気候変動への対応を進めるサプライヤーからの優先調達ルールを策定しており、サプライヤーと双方向で協力し、ガイドラインやルールを運用の中で改善しながらサプライチェーン全体で温室効果ガス排出を削減していく方針としている。2022年4月には、14のグローバル関連企業・団体・学術機関とともに非営利団体「ESTAINIUM協会」を設立し、サプライチェーン上の企業間で温室効果ガス排出量データをセキュアにやりとりすることができるオープンな基盤の構築を通して、産業界のカーボンニュートラルを目指しているという。
「温室効果ガス排出削減の取り組み」としては、政府、他企業と協力し、国内外で森林由来のクレジット制度を活用したカーボン吸収の取り組みを進めているという。2022年2月から3月にかけて、海洋生態系が吸収する炭素「ブルーカーボン」によるCO2削減の実証実験を行うなど、温室効果ガス排出削減を最大限進めるとともに、残存カーボンの除去の取り組みも行っていく方針とのこと。