POLITICOは7月7日(米国時間)、「Europe faces Facebook blackout – POLITICO」において、FacebookとInstagramが欧州においてサービス停止に直面していると伝えた。アイルランドのデータ保護委員会(DPC: Data Protection Commission)がMetaに対し、ヨーロッパから米国へのユーザーデータの送信を停止すると、ヨーロッパの対応機関に通知したという。
欧州在住の個人情報データの取り扱いについては、米国の大手ITベンダーとヨーロッパのプライバシー活動家の間で長年にわたり激しい法廷闘争が続いている。今回のアイルランド当局の発表は、Metaが大量のデータを米国に転送するために利用している最後の法的手段を取り締まるものになっているという。
FacebooやInstagramなどのSNSを手掛けるMetaは、欧州連合(EU: European Union)が策定した一般データ保護規制(GDPR: General Data Protection Regulation)の標準契約条項(SCC: Standard Contractual Clauses)と呼ばれる法的手段に則り、欧州在住のユーザーデータを取り扱っていた。しかしながらこの決定によって、より厳しい対応を取る必要に迫られることになる。
EUと米国はアイルランド当局の命令にかかわらず、米国企業が大西洋を越えてデータを送り続けることを可能にする新しいデータ転送の交渉している最中だという。ただし、3月に政治レベルでの予備的合意に達したが、法的細則の交渉は停滞しており、年内に最終合意に達することはないと見られている。
Metaは今年3月に米国証券取引委員会に提出した書類において、新しい大西洋横断データ転送の枠組みが採用されず、欧州から米国へのデータ転送において標準契約条項に依存し続けるか、他の代替手段に頼ることができない場合、FacebookやInstagramなど、当社の最も重要な製品やサービスの多くを欧州で提供できなくなる可能性が高いと述べている。
アイルランドデータ保護委員会の広報担当者は、今回の決定草案を他の欧州のプライバシー規制当局に送り、今後1カ月以内に返答の意見を受け付けるとしているが、決定内容の詳細については言及していない。