TSMCのデザインインフラストラクチャー・マネジメント部門のバイスプレジデントであったSuk Lee氏が、Intelに転職し、同社のVice President,Design Ecosystem Technology Officeに就いたことを、Linkedinの自身のアカウントにて、「Very excited to join Intel today!」というメッセージとして掲載した。
同氏は2009年にTSMCに入社。同社のオープンイノベーションプラットフォーム(OIP)関連のビジネスや、設計アーキテクチャ管理の責任者などを務めてきた。Massachusetts Institute of Technology(MIT)を卒業後、カナダのトロント大学にて工学修士号を取得。その後、LSIやTexas Instruments(TI)といった半導体メーカーやCadenceなどのツールベンダでの勤務を経て、TSMCに入社していた。
長年にわたってTSMCの成長を支えていた同氏がIntelに転職したというニュースは台湾の中央通信社はじめ多数の台湾メディアが伝えており、台湾で大きな注目を集めている模様である。
Intelでは、ファウンドリビジネスの拡張に向け、さまざまな仕組みを整える途上にあり、関連する周辺リソースを統合する必要があることから、そのプロセスの加速に向け、Vice President - IFS, Design Ecosystem Technology Office Leaderの人材募集を数か月前より行っており、そうした経験を有するLee氏にアプローチをしたのではないかとの見方を示す台湾半導体業界関係者もいる。
同氏の前には、6月にFab 14や最先端の5nmプロセスの量産を担当するFab 18の工場長を務めた劉曉強(Liu Xiaoqiang)氏が中国の昇維旭技術(Shengweixu Technology)にCEOとして引き抜かれたことが話題になっており、台湾政府にとっても、半導体人材の海外流出は頭を悩ませる問題という認識を示しているが、TSMCの幹部社員gあIntelに移ることは想定外であったようである。ファウンドリとして圧倒的な存在感を示すTSMCから1人、2人程度の人材が引き抜かれたところで、TSMCに大きな影響はないとの見方がある一方で、ファウンドリビジネス強化のためエコシステム構築急ぐIntelにさらに人材を引き抜かれることを懸念する向きもあり、今後のIntelの人材募集の動きが注目される。