YKプランニングは7月5日、「企業の倒産理由や原因」に関する調査結果を発表した。これによると、直近10年以内に倒産を経験した経営者の半数以上が6カ月前には予兆を感じており、回避のためやっておけばよかったと思う対策では内部留保や計画的事業の推進が多いことが分かった。

  • 倒産時期と原因 出典:YKプランニング

同調査は同社が6月14日~16日にかけて、直近10年以内に倒産を経験した現・元経営者を対象としてインターネットにより実施したもので、有効回答者数は1003人。倒産した時期を聞くと、コロナ前が53.3%と過半数だった。

原因を複数回答で尋ねたところ、「販売・客足の低下」が49.8%と最も多く、以下「原材料の高騰や供給不足」(19.7%)、「売掛金の回収不能」(18.2%)、「人手不足」(17.7%)が続く。

  • 予兆を感じた時期と理由 YKプランニング

倒産の予兆を感じた時期を聞くと、3~6カ月前が28.8%と最多で、1~3カ月前が24.9%、6カ月前~1年前が17.7%となっており、6カ月以下との回答が過半数を占めた。予兆を感じた理由を複数回答で尋ねると、預金通帳残高の大幅減少が29.7%と最多で、以下「大口得意先の倒産」(15.0%)、「競合他社へ徐々に顧客を奪われる」(8.1%)が続いた。

この結果から同社は、キャッシュフロー(現金の流入と流出)の枯渇に原因があるのではないかと推測する。

  • 予兆を感じた時に実施した対策 YKプランニング

予兆を感じた時に実施した対策を複数回答で質問したところ、「新しい事業への転換」(24.6%)が最も多く、「営業活動・マーケティング広告の拡大」(16.3%)が続く。「追加の資金調達」は16.2%にとどまっており、販売・客足の低下をカバーするため新事業への転換や営業活動を実施した回答者が多いと同社は見ている。

倒産前1年以内に相談した相手を複数回答で聞くと、顧問税理士・会計士が40.0%と最多で、以下家族(24.9%)、経営者仲間(21.1%)が続き、金融機関は18.8%にとどまった。同じく倒産前1年以内に実施した資金調達手段を複数回答で尋ねたところ、金融機関からの融資が42.0%と最も多く、以下、補助金や助成金(21.4%、会社資産の売却(20.1%)が続く。

  • 経営者個人による倒産対策の困難さと倒産を防止できたと思う対策 出典:YKプランニング

経営者個人だけでは倒産を防ぐための具体的な対策を立てることは難しいと思うかと質問すると、「とても難しいと思う」が50.5%、「やや難しいと思う」が37.6%で、9割近くが難しいと答えている。

「やっておけば良かった」または「倒産を防ぐことができた」と思う対策を複数回答で聞いたところ、「不測の事態を考慮した内部留保(資金留保)」が38.5%と最多であり、以下「行き当たりばったり経営でなく計画的な事業の推進」(30.0%)、「経営戦略面での決断(新しい事業への転換、新市場への参入、不採算事業の撤退など)」(25.0%)が続いた。

倒産を防ぐための方策として同社は、計画的な経営推進を日頃から実施する利益体質の経営による内部留保の確保と、会社に体力がある時期に思いきった経営戦略面での決断を行うことを挙げている。