デジタルマーケティングの現在の大きなトピックは、3rd Party Cookie問題だが、そんな中、CDP(Customer Data Platform)を提供するトレジャーデータは、メディア向けのラウンドテーブルを開催し、PRマネージャー 池内聖子氏は「Cookieless時代のマーケティングはデータクリーンルームを介して行われていくようになる」と語った。
データクリーンルームは、多くの1st PartyデータをもっているGoogle、Amazon、Facebook(メタ)、LINEなどのプラットフォーマーが、安心、安全な形で自社のデータを企業に開放するための環境。プラットフォーマーのクラウド上に構築される。これにより、企業はデータクリーンルームのデータを個人のプライバシーに配慮した形で活用できる。データクリーンルームのクリーンには、法令順守、個人のプライバシーの配慮、匿名化できる技術をもっている、適切なアクセス権の4つの意味があるという。
「3rd Party Cookieが使えなくなったことで、企業は自社が実施した施策の評価ができなくなった。これに対して、プラットフォーマーがもつデータを安心・安全な形で企業に開放するための環境としてデータクリーンルーム生まれた。自社がもっている1st Partyデータと、プラットフォーマーを持つデータを組み合わせ、自由な分析が行える環境だ。それによって、Cookielessマーケティングの精度がさらに上がっていく」(池内氏)
同氏は、データクリーンルームが生まれた背景には、「急激なデジタル化」「プライバシー保護」「Cookieless」の3つの要因があるとした。
「データクリーンルームが各社から提供され始めているが、その要因として、『急激なデジタル化』『プライバシー保護』『Cookieless』の3つが複雑に重なり合っている点が大きい。コロナによって、顧客接点のデジタル化が3倍(20%→60%)になっている。プライバシー保護の点では、個人の権利を強化する法律の制定や改正が各国で行われ、企業が保有する個人情報を自由に使える点に対して"NO"という機運が高まっている。Cookielessでは、とくに影響が大きいのが3rd Party Cookieだ。それによって1st Partyデータの価値が高まっている。企業はこれまでの顧客維持に加えて、顧客との関係マネージメントが求められるうようになっている。背景には、顧客の趣味嗜好の多様性の影響もあり、競争が激化している。そのためには、顧客理解が必要だが、データを統合しないと顧客ジャーニーを捉えられない」(池内氏)
この課題に対してトレジャデータでは、CDPでデータを1カ所に統合しながらも、データガバナンス(データ削除依頼に対応できるようにする)の下地を整え、プラットフォーマーのデータをうまく活用することが解決策だと考えているという。そこで、出てくるのがデータクリーンルームということだ。
そのため同社は、今年の5月18日、大手プラットフォーマーであるLINEとの業務提携を発表した。今後両社は、共同でLINEのデータクリーンルームを開発し、あわせて、トレジャーデータのCDPとLINEのソリューションとの連携強化を図っていくという。
「弊社のCDPの顧客は300社以上あり、そことLINEのデータクリーンルームの連携を考えたときに、LINEさんはトレジャーデータと一緒にやっていくのがいいと判断された」(池内氏)
また、同社は近々、別のプラットフォーマーとの提携も発表する予定だという。