キヤノンマーケティングジャパングループのキヤノンITソリューションズ(キヤノン ITS)は7月4日、マイクロサービスアーキテクチャを採用したクラウドネイティブなEDI(Electronic Data Interchange:電子データ交換)サービス「EDI Master Cloud」を11月下旬から提供を開始すると発表した。

  • 「EDI Master Cloud」の概要

    「EDI Master Cloud」の概要

多くの日本企業では、将来の成長や競争力強化のためにデジタルトランスフォーメーシ ョン(DX)の取り組みの一環として、システムのクラウド化に取り組んでおり、国内で30万社以上が利用するEDIシステムにおいては、2024年1月の固定電話のIP網移行に伴うインターネットEDI対応や基幹システムの刷新を契機とするクラウド化の動きが加速しているという。

EDIシステムのインターネットEDI対応やクラウド化に際して、さまざまな取引先との接続性の確認や現行業務に支障がないように移行することが重要だという。しかしながら、インターネットEDIへの対応には、ソフトウェアインフラ設備の調達や、取引先ごとの通信定義などが必要なことに加え、人材不足によるインターネットEDI方式のノウハウ習得も 負担になっている。

特に、受注企業においては、発注企業の方針に合わせる必要があるだけでなく、インターネットEDI対応にかかる業務負担やノウハウ不足から、移行が進みづらい状況にあるほか、クラウド化に伴い、さまざまなシステムをクラウド上でシームレスに連携させなければならないなどの課題もあると同社は指摘する。

そこで、EDI Master Cloudは通信・変換・運用など、EDIとしての機能要件をクラウドネイティブな環境で実現し、システム間連携機能、EDI業務運用サービスも提供する。

主な特徴としては、サービス基盤にアマゾン ウェブ サービス(AWS)を採用し、マイクロサービスアーキテクチャやオートスケーリング、コンテナ技術など、クラウドに最適な技術の活用で高い可用性・耐障害性・スケーラビリティを備えたという。

また、70以上のOpen API(Web API)により、さまざなな製品/サービスとのクラウド連携を実現するほか、EDI標準テンプレートやERP(Enterprise Resource Planning)アダプタを備え、取引先ごとのデータ形式変換・マッピング作業の負担を軽減するとしている。

さらに、関連サービスとして、EDIデータの送達確認や再送操作、接続先との疎通テストなど、導入企業が行うEDI業務運用を代行するサービスもラインアップした。

  • 「EDI Master Cloud」の導入メリット

    「EDI Master Cloud」の導入メリット

キヤノンITSは「EDI Masterシリーズ」を中核としたEDIソリューション事業で、2025年までに年間売上高35億円を目指す。

今後はEDI Master CloudのEDI標準テンプレートやERPアダプタの拡充、外部システムとのデータ連携、EDI業務運用サービスの拡充など、EDI隣接領域を含めたソリューションを展開し、EDI業務の効率化を支援していく考えだ。

価格は初期費用が10万円(税別)、構築サービスは別途見積もり、基本利用料は月額15万円(同)~、EDI業務運用サービスは別途見積もりとなる。