空解とNTTドコモ(ドコモ)は6月29日、約40キロメートル離れた離島へのドローンによる救援物資などの運搬実証実験に成功したことを発表した。

  • 沖縄本島から座間味村へのドローン配送の様子

    沖縄本島から座間味村へのドローン配送の様子

沖縄本島から北西に約40キロメートル離れた離島である沖縄県座間味村に飲料・食料などの生活物資を配送した。座間味村の交通手段は1日3便の航路のみとなっており、村内に病院はなく診療所しかない。同実証実験は災害や病気などの緊急時における座間味村の住民の不安解消を目的に実施された。

同実証実験には、空解が開発した新型VTOL(垂直離着陸型)ドローン「QUKAI FUSION 2.0」を使用。固定翼型のいわゆる飛行機型でありながら、離着陸は垂直上昇、垂直下降が行える電動VTOLドローンだ。

  • VTOL ドローン「QUKAI FUSION 2.0」

    VTOL ドローン「QUKAI FUSION 2.0」

同実証実験では、「QUKAI FUSION 2.0」に搭載したGNSS(衛星測位システム)受信機へ高精度GNSSの位置補正情報をリアルタイム配信することで、1秒ごとに数センチメートルの誤差内の高精度測位が可能となり、あらかじめ設定した着陸ポイントに対し、海風の影響の中、自動で正確に着陸することに成功した。

  • 座間味村 古座間味ビーチに正確に着陸した様子

    座間味村 古座間味ビーチに正確に着陸した様子

誤差数センチメートルの着陸が可能なため、離着陸の際に長い滑走路や広いスペースなどを確保する必要がなく、物資などを安全に運ぶことが可能であることが検証できた。

日本国内には座間味村のみならず、有人の離島が数百か所点在している。多くの離島では1日数便の船舶による移動や物品輸送に限られ、海上しけなど天候の悪い日は移動や輸送手段がなくなってしまうなどの課題がある。両社は、ドローンによる正確な長距離飛行を実現し、離島の多くが抱えている課題の解決に向けて取り組んでいくとしている。