ライフサイエンス・イノベーション・ネットワーク・ジャパン(LINK-J)は2022年6月24日、「東北大学先端技術×ライフサイエンスシリーズ」として、東京都中央区内で講演会を開催した。
東北大学国際集積エレクトロニクス研究開発センターの遠藤哲郎センター長(兼工学研究科教授)は「スピントロニクス半導体の研究開発を推進し、民間企業との産学連携による共同研究を進めている」と解説した。
同センターでは「IoTエッジコンピューティングのデバイスや、CMOS/スピントロニクスデバイス、3D構造のシリコンデバイスの実用化を図っている」と遠藤センター長はいう。
そのスピントロニクス半導体の研究開発と事業化を図るために、遠藤センター長は2018年10月に東北大学発ベンチャー企業としてパワースピン(仙台市青葉区)を設立した。創業時には、東北大学のベンチャーキャピタルである東北大学ベンチャーパートナーズ(THVP、仙台市青葉区)が出資した。
パワースピンでは、保有する世界トップレベルのスピントロニクス技術を、AIプロセッサや車載/IoT/センサーなどのロジックデバイスに実装し、「演算性能/消費電力」比を従来比100倍以上に高めた技術の開発を行っている。
その後に、東北大学ベンチャーパートナーズとJAFCO、三菱UFJキャピタルから追加出資を受け、事業化に向けて開発を加速している。
さらに、パワースピンは2022年第5期から「2代表による経営体制に移行し、経営は代表取締役社長&CEOの福田悦生氏が、技術開発は代表取締役&CTOの遠藤氏が責任を持つ体制に移行した」と説明する。
この新体制では、2人の代表取締役がそれぞれが得意とする「経営(Management)」と「技術(Technology)」に注力する。
さらに、今年8月には営業拠点となる横浜事務所(横浜市西区)を開設し、ユーザーニーズに答える態勢に移行する計画という。