ラピュタロボティクスは6月28日、東京都江東区木場に約400平方メートルのデモ施設を併設した新オフィスを正式にオープンし、報道関係者に公開した。
新たに開設したデモ施設では、同社が開発・提供する協働型ピッキングアシストロボット「ラピュタPA-AMR(AMR)」を約20~25台常備している。AI(人工知能)による群制御により、複数のロボットを連携した効率化なピッキング(棚だし)作業を体験できる。
同社は、ロボットやAI制御ソリューションの導入を検討する企業に対してデモ施設を公開する。群制御技術を可視化することで、ロボットソリューションの体験・体感を通じ、テクノロジーを活用した物流倉庫作業の理解につなげる考えだ。
内覧会に登壇したラピュタロボティクス執行役員の森亮氏は「昨今の物流現場におけるロボットは、単なる客寄せパンダではなくなった。最新のテクノロジーを導入することで着実に成果は出せる。このデモ施設を通じて体感してもらいたい」と述べた。
では、具体的にどのような体験ができるのだろうか。
物流倉庫でのピッキング作業と言えば、一般的に、作業員がピッキングカートを押しながら、指示された製品や商品を一つずつカートに入れていく。一筆書きのように倉庫全体を歩行するため「一日約50~60%の時間が価値を生まない歩行などに使われている」(森氏)という。また重いカートを押し続けるため、作業員の肉体的労力の消費も激しい。
しかし同社のAMRを活用することで、この歩行が自動化されカートを押す必要がなくなる。作業員1人につきAMRが2~3台の割合で配備され、作業員は近くに来たロボットに荷物を詰め込み、タブレット操作するだけで作業が進む。
AMRが自動で対象商品の真横に到着するため作業員はハンズフリーで作業ができ、商品をタブレット画面で指示されたコンテナに投入する。作業が完了すると、最短でピッキングが完了するようロボットが次の作業場所を指示する。
そして指示された場所に向かうと、また別のロボットが待機。常に先回りして作業をサポートしてくれる子分のような存在で、とても使い勝手がよい。
こういったことが実現できるのは、AIにより複数のロボットを統括できる同社のクラウドロボティクス・プラットフォーム「rapyuta.io(ラピュタ・アイオー)」がAMRに組み込まれているおかげだ。
同プラットフォームが、作業員の誰が、どの順番で、どこにいるAMRでピッキング作業を行えばいいのかを瞬時で割り出す。またダッシュボード機能により、ピッキング作業の進捗状況の把握、AMRの機体情報、全AMRの位置情報、オーダーの詳細情報などを一元管理できる。
森氏は「どの順番で誰が作業すれば早く終わるのかを瞬時で計算するため、作業員の“歩行時間”が短縮され、身体的な負担もなくなる。結果的に生産性が向上する」と説明した。アスクルでは、同社が運営する物流センターに「ラピュタPA-AMR」を34台導入し、人員を約3割削減でき、約1.8倍の生産性の向上を達成したという。
ラピュタロボティクスは生産性に応じた月額のサブスクリプション費用が変わる、成果連動型の料金体系も開始。年内までに1000台のAMRの販売を目指すとのことだ。