キヤノンマーケティングジャパングループのキヤノンITソリューションズ(キヤノンITS)は6月28日、気象などのコーザルデータとAI技術を用いて需要予測精度を向上させる機能や、在庫補充計算機能のバリエーションを追加した、需要予測・需給計画ソリューション 「FOREMAST(フォーマスト) Ver.3.3」を7月1日から販売を開始すると発表した。

昨今では、製造業・流通業を問わず、経営管理手法の1つとしてサプライチェーンマネジメント(SCM)の重要性が増しており、特にSCMの起点となる需要予測の精度向上が求められ、需要予測精度を上げるためコーザルデータと呼ばれる、天候や気温、物価指数、販促キャンペーンや競合の状況、周辺のイベントなどの販売に影響を与える要因の活用に注目が集まっているという。

また、物流の混乱がリスクとなる昨今、無駄な在庫移動を防止するために各拠点に在庫を適正に配置、補充することも、SCMのオペレーションでは重要な業務となっている。

FOREMASTは、同社が強みとする数理技術や業務知識などの知見に加え、AI活用技術などの研究成果を生かした需要予測・需給計画ソリューション。「在庫補充計画SIコア」「需要予測SIコア」など5つのSIコアから構成され、課題に合わせてSIコアとそれに付随する機能を選択し、組み合わせて導入することを可能としている。

  • 「FOREMAST Ver3.3」の概要図

    「FOREMAST Ver3.3」の概要図

新バージョンでは、コーザルデータとAI技術を用いて、実績や予測結果を補正することで需要予測精度をより向上させる機能を新たに追加。併せて、コーザルデータを外部の情報配信サービスから受信し、FOREMASTで活用できるデータに変換・蓄積するコーザル情報収集機能を提供開始する。

  • コーザル予測機能の概要

    コーザル予測機能の概要

コーザル情報収集機能は、標準では汎用性の高い気象データに対応し、利用ニーズに合わせてその他のコーザルデータを追加することも可能。

  • コーザル情報収集機能の概要

    コーザル情報収集機能の概要

そのほか、新バージョンでは在庫補充量の計算時に補充元・補充先の在庫レベルを考慮して補充量を自動調整する機能や、計画調整画面の機能・性能向上など複数の機能を追加し、改善。これらにより、SCMの最適化・効率化をさらに促し、担当者の業務負荷軽減によるワークライフバランス適正化や、適正在庫による食品ロス削減などの社会課題解決にも寄与するとしている。

価格は機能によって異なるが、需要予測もしくは在庫補充計画機能のみが約2500万円(ライセンス費含む)~、需要予測+在庫補充計画が4000万円(同)~。同社では、年間売上高が300億円以上の製造業の需給管理部門(SCM部門)、流通業の商品発注部門をメインターゲットに据え、2025年までに導入社数100社を目指す。