京都大学(京大)は6月23日、金属を含まないハライドペロブスカイト物質「MDABCO-NH4I3」(MDABCO=N-methyl-N'-diazabicyclo[2.2.2]octonium)において、可視光発光と強誘電性の2つの特性が同時に発現し、さらにこれらの特性が互いに相関していることを発見したと発表した。
同成果は、京大 化学研究所の金光義彦教授、同・半田岳人特定助教(現・コロンビア大学JSPS海外特別研究員)、同・湯本郷助教、同・若宮淳志教授、同・橋本塁人大学院生、同・中村智也助教らの研究チームによるもの。詳細は、米国科学振興協会の刊行する学術誌「Science」系のオープンアクセスジャーナル「Science Advances」に掲載された。
ペロブスカイト物質ではさまざまな特性が発現しているが、中でも特に優れているとされるのが、発光と強誘電性であり、もし発光と強誘電性を同時に発現し、なおかつ2つの特性が共存・相関するペロブスカイト物質を発見できたら、新しいタイプの光電機能やデバイス応用につながることが期待されるという。
また、もし発光と強誘電性の2つの特性が互いに相関してるのであれば、片方の特性を制御することで、もう片方の特性も変化させられるという、ユニークな機能を実現できる可能性があるという。
そこで研究チームは今回、2018年に合成が報告されたMDABCO-NH4I3に着目し、複数の光学測定を組み合わせた研究を行うことにしたとする。