ソフトバンクは6月28日、AI(Artificial Intelligence:人工知能)やDX(デジタルトランスフォーメーション)に関わる人材を育成する法人向けサービス「Axross Recipe for Biz(アクロス・レシピ・フォー・ビズ)」の提供を開始することを発表した。
同サービスはソフトバンクの現役のエンジニアや、同社と連携する外部のエンジニアが、実際のビジネスの現場で取り組んだAIの活用事例などのノウハウを料理の「レシピ」になぞらえて教材化し、ユーザーがそれをオンライン上で学習できる仕組みだ。
「Axross Recipe」は従来型のDX学習サービスと現場の実務で求められるスキルのギャップに同社のエンジニアが着目して発案されたサービスで、2020年6月にベータ版をリリースした。学習コンテンツはプログラミングのノウハウなどに関する技術ブログのほか、体系的なコースを学習できるe-learningなどを動画やテキストの形式で提供している。
なお、公開しているレシピは同社のエンジニアが事前に内容を確認しているという。また、コミュニティのコメントなどによりアップデート情報は随時更新されているようだ。
当初はC to Cモデルとして立ち上げた同サービスだが、今回は法人向けとして提供を開始する。法人向けサービスのユーザーは全てのコンテンツを繰り返し演習できるだけでなく、テストに取り組んで自身のレベルを確認できる。主な学習コンテンツの例は以下の通り。
コース | 主な学習内容 |
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自然言語処理演習コース | ・1冊の本のテキストデータを要約し、頻度に応じて可視化 ・文章の「あいまい検索」機能をつくる |
データ分析演習コース | ・オープンデータを活用したデータ分析/地図の可視化 ・飲食店の購買履歴データから傾向を分析 |
物体検出のAI演習コース | ・動画から簡単なジェスチャーを推定 ・防犯カメラの映像から人物の動きをトラッキング |
D製造業DXおすすめコース | ・工場の生産ラインでの活用を想定したGANを応用した異常検知 ・深層学習モデルで航空写真に写る対象物を検出 |
流通小売業DXおすすめコース | ・ECサイトで在庫の商品を無駄なく発注するデータ分析 ・ECサイトのレビューコメントを分析 |
これまでに公開したレシピは300を超えており、そのうち約8割がAIを活用するような内容のレシピだという。ほかの約2割は量子コンピュータやWebアプリケーション開発、Pythonを使った業務効率化などに関するレシピとのことだ。
同サービスではエンジニアではない事務職の従業員向けに、ゼロから学び始める基礎コースも提供する。「何から学び始めたら良いかわからない」といったユーザーも支援する狙いがあるとのことだ。
また、現場の従業員向けとして「製造業のDXで役に立つレシピ集」や「異常検知の演習レシピ集」など、自身の業務に生かせる目的型の学習コースを約30種用意しているという。学習進捗やスキルデータを一覧で可視化できる機能も提供するため、管理者はいつ誰がどのような内容を学習したのかを把握できるとのことだ。
さらに、プラットフォーム上に公開しているレシピは、企業が従業員に学んでほしい内容を優先的に表示するようなカスタマイズにも対応する。受講者へ学習の継続を促すような通知も、法人向けサービスのために追加した機能だ。法人向けの有料オプションとして、企業独自環境でのチャットサポートも追加可能。
法人での利用料金は1アカウントあたり月額3800円から。価格はサービス利用期間や利用規模に応じて変動するため、詳細は要問い合わせ。