村田製作所は6月27日、同社が初めて提供するMR電流センサとして、高速応答性と高い測定精度を両立したコアレス電流センサの新製品の「MRDシリーズ」を開発し、量産を開始したことを発表した。
近年、脱炭素化やカーボンニュートラルの実現に向け、産業機器のモータ駆動や太陽光発電システムの開発が進み、電力変換を担うインバータやDC/DCコンバータの高効率化に対するニーズが高まっている。また、より高い電力変換を制御するため、電流を高精度かつ高速で測定する電流センサが求められている。
従来の高精度な電流測定では、磁場を利用したコア付き電流センサが主に使用されていたが、磁気検出のためのコアが必要となり実装面積が大きくなることが課題だったという。
村田製作所はこれらの課題に対して、高感度なTMR素子と、外部磁場の影響を除去する独自の補正処理技術を用いることで、幅広い温度帯での測定精度向上を実現。また、コアレス型オープンループ方式を採用することで、高速応答、低消費電力、およびセンサの小型低背化を両立したとのことだ。
同製品は、サーバ用電源タップやバッテリマネジメントシステム(BMS)のモータコントロール、エアコンや冷蔵庫などのインバータ搭載家電製品、自動車の充電ステーションなどへの応用が期待されるといい、村田製作所は、今後も市場ニーズに対応したセンサの開発に取り組むとしている。