TrendForceによると、半導体製造装置のリードタイム(納期)は現在、最大18〜30か月となっており、2023年におけるファウンドリの生産能力は前年比8%増にとどまる可能性が高いという。

今回の調査前の段階では、2022年と2023年にファウンドリによって供給される(12インチと8インチを含む)の生産能力の年間成長率は、それぞれ同13%増ならびに同10%増と推定されていた。

最新の調査では、半導体製造装置の納期遅延は、2022年の工場拡張計画にはそこまで大きな影響を与えないものの、2023年の工場拡張計画に大きく影響し、特にTSMC、台UMC、PSMC、Vanguard、SMIC、およびGlobalFoundries(GF)については、全体的なファブ拡張計画は約2〜9か月遅れ、年間の生産能力増加率は同8%増程度となると予想されるという。

TrendForceによると、新型コロナウィルスの世界的な感染拡大前の半導体製造装置のリードタイムは約3〜6か月だったという。パンデミック以降、世界中の国々は厳格な国境管理を実施、ロジスティクスの混乱が生じた。その一方で、同時期、IDMとファウンドリは強い最終製品からの需要を受け、積極的な生産拡大を実施。生産能力拡大も次々と決定。その結果、半導体製造装置のリードタイムは12〜18か月に延長せざるを得なくなり、2022年に入って、ロシアのウクライナ侵攻、中国の都市封鎖によるロジスティックの停滞、および半導体製造装置向け半導体の不足などにより、EUV露光装置を除き、リードタイムは18~30か月ほどに延びたとされる。長期契約に基づいて限定された台数しか製造されていないEUV露光装置を除けば、DUV露光装置の不足がもっとも深刻で、次いでCVD/PVD装置とエッチング装置が不足しているという。

なお、ロシアのウクライナ侵攻および世界的なインフレの進行は、さまざまな原材料の入手を困難にしただけではなく、新型コロナが人流や物資の停滞に拍車をかけており、この両方が半導体ファブの建設の遅れにつながっており、これらに加え、製造装置の納入遅れが、2023年以降の各ファウンドリの拡張計画に複雑に絡み合って影響を及ぼす見込みであるという。ただし、2022年初頭ころから、在宅勤務・学習に伴う特需な弱くなり、テレビ、スマートフォン、PCなどの家電製品の需要も弱まってきていることもあり、TrendForceでは、ファウンドリは、製造する製品の種類を調整することが可能となり、不足している製品の増産を積極的に進めることで、稼働率を95%ほどに維持しているという。