デジタル化が進み、学び直しや新しいスキルの獲得("リスキル")が必要と言われている。リスキルはDX人材を目的に行われることが多いが、デジタルの下支えになるサイバーセキュリティで社員の学び直しを進めているのはインドの大手ITコンサルInfosysだ。同社でCISOを務めるVishal Salvi氏が「Reskilling workers can help meet the cybersecurity staffing challenge」として、自社の取り組みをSecurity Magazineに寄稿している。
新型コロナで一斉にデジタル化が進んでおり、プライベートから業務までさまざまなことがインターネットで行われ、重要な情報がクラウドに置かれる時代になった。世界経済フォーラム(WEF)の調査によると、リーダーの59%がサイバーセキュリティの脅威克服は難しい課題と述べているという。その原因は、スキルある人材が不足しているからだ。経営層の多くが人材の獲得と維持を課題に挙げている。しかし、攻撃する側はそんなことに関係なく、むしろそれを好機に攻撃を仕掛けてくる。
そこでInfosysでは、新たにセキュリティ人材を獲得するよりも社内の人材の学び直しを進めることにしたという。それまで新入社員を対象に物理的に行ってきたトレーニングをデジタルに適用し、グローバルの社員向けのプログラムを開発したそうだ。ポイントは、継続的に学べる、自分のペースで学べる、大学などの教育機関との連携、その地域に合わせた要素など。ただサイバーセキュリティを学ぶのではなく、各事業部の事業計画と連携させて具体的にどのスキルが、何人ぐらい必要になるのかの見通しを立てながら進めたそうだ。短期的(3ヶ月単位)に必要なスキル、長期的(5年単位)に必要なスキルに分類をし、現時点での従業員のスキルデータ、過去の所属、市場トレンドも加味した。
これにより、新卒や中途以外の人材パイプラインを社内に作ることができたという。学び直しをした社員の90%以上が、自分が獲得した新しいスキルを使うプロジェクトに配属されたそうだ。社員のやる気を奨励するために、財務的な支援、それに”スキルタグ”などのキャリア面でのインセンティブも用意した。スキルタグは、自分が学んだことを示すデジタルバッチのようなもので、社内の各部署に自分のスキルをアピールできる。
Salvi氏は学び直しは 企業にも社員にもメリットがある"ウィンーウィン"という。企業にしてみれば、新たに社外から採用する場合と比べて半分程度のコストで必要なスキルを持つ人材を得られる。しかも、自社の業務をよく知る人が、新たに必要になるスキルを獲得するのだから、多少の時間がかかったとしても効率が良い。
社員は新しいスキルを身につけることで、仕事を自分にとって意味のあるものにできる。学ぶことは刺激になる。離職対策にもつながっているという。会社のカルチャーにも良い影響をもたらしており、これが外部の優秀な人材引きつけにつながるという良い連鎖につながっているそうだ。
Salvi氏は自社のサイバーセキュリティのリスキルでの経験から、次の4つをアドバイスしている。
1)学び直しを経営の柱の一つにする
2)部門を超えたチームを作る
3)プロセスに従業員も加わってもらう
4)大学や非営利など外部との連携を
Salvi氏のアドバイスは、サイバーセキュリティ以外のスキルにも適用できるだろう。
日本企業は人を大事にするという文化が根強く、終身雇用に代表されるように社員と企業は長い関係を構築している。従業員が新しいスキルを身につけてエンプロイアビリティ(従業員の雇用能力)を高めることで、企業と従業員の関係がさらに良好で健全なものになるはずだ。
学生時代から積み重ねる"学び"のプロセス。よくよく思い返せば、成績の良かった時は授業の内容を"ノート"にアウトプットしている。細かく書き込んだノートを見返すだけで授業が蘇るようになるからテストの結果も良い。一方、大半を占める成績の悪い時期は何もノートをとっていない。継続的にノートしていれば・・・そんな方も多いのではないだろうか?
仕事に専ら使うPCには断片的なノートが散りばめられているが、起こしたレポートや原稿、エクセルファイルやテキストファイルに書き、ハードディスク上に保存されたデータだ。これら断片的なノートを学生時代のように使えないものか?ふと考えるとファイルの"中身"をキーワードで拾う高速なgrepコマンドがある。テキストエディターの秀丸にはgrep機能が備わるので、エディタ上で選択しているキーワードを素早くgrepできると面白い。
秀丸のその他→メニュー編集から追加できる[ユーザーメニュー]を作成しておき[grepの実行]を追加、その他→[キー割り当て]でショートカットキーを割り当てておけば、テキストエディタ上でターゲット文字を選択している際にgrepを実行し、検索結果を別ファイルで表示する。筆者の場合、[Ctrl]+[k]でユーザーメニューが表示されるので、そのままgrepを割り当てた[g]を押すだけだ。デスクトップを作業上とする悪い習慣のある筆者ではあるが、[grepの実行ダイアログ]でデスクトップ以下のフォルダを検索するにピン留めしておけば次回からも同じ範囲(筆者の場合デスクトップ)を検索する。
CSVモードやバイナリモードが備わっているのだが、grepによるデータの宝庫であるCSVの活用は強力なエディタ補完ツールになる。例えば、日本取引所グループでは上場企業リストをExcelファイル(Webサイト)で公開しているがこれをデスクトップにダウンロードしてCSVで保存しておく。すると、テキストエディタで企業名を文字列を選択し、筆者の場合[Ctrl]+[k]→[g]で企業の情報が表示される。オープンデータなどエクセルやCSVで公開されているデータをテキストエディタから手軽に読み込める辞書のように扱える。キーワードの範囲や属性の有無などを素早く把握できる。いわばオープンなノートの取り込みだ。
自前の学習データとして残しておくにもExcelで管理してCSVで保存しておけば、同様な使い方が可能だ。筆者は前回Perlのgiven構文を一時的な脳内メモリに保存したので、消えないうちにノートに書き留めることにする。"アウトプットとインプットの双方が学習に重要である"ことはよく言われることだ。こまめにExcel&CSVに記録しておけば、エディターから簡単によびだせる自分だけのノートを構築できることになる。