6月22日~24日に東京ビッグサイトで開催されている「日本ものづくりワールド」内の「第34回 設計・製造ソリューション展(DMS)」でNECは、「ものづくりDX~NECだからできること~」というコンセプトのもと、製造現場におけるDXソリューションの紹介を行っている。
同社は、ものづくりDXを実現するにはITなどの“仕組み”だけでなく、それを活用していく“マインド”の醸成と“プロセス”の定着化が重要だとし、製造業企業であるNECが自ら取り組んできたDXの実績や経験を踏まえて、クライアント企業に提案。展示されたソリューションも自社で導入し、実証を行ったうえでノウハウなども含めて提供しているという。
異なるメーカーのAMRを一括で制御するソフトウェア
近年、倉庫や工場で導入が進むAGV(無人搬送車)やAMR(自律走行搬送ロボット)。特に磁気テープといったガイドなしで走行が可能なAMRはレイアウト変更などの必要がある工場などへの導入で注目されている。
NECは異なるメーカーのAMRを一律で管理できるソフトウェア「NEC マルチロボットコントローラ(MRC)」を提供している。
担当者によれば、AMRはメーカーによって搬送可能重量などが異なり、用途ごとに異なる車種を導入し、一元で管理したいというニーズがあったという。
MRCは、目的地を指定することで、複数台のロボットがぶつからないように最適な走行経路を自動的に算出。運行状況をリアルタイムに把握することも可能だ。
担当者によれば、パソコンの性能にもよるが、ノートパソコンによる制御では20台程度を一括で制御することができるという。
現在はトピー工業の「セキシュウ・クローラー」と日本電産シンポの「S-CART」の2機種に対応。今後、対応機種を増やしていく予定だという。
また、ロボットのさらなる協調制御を目指し、コニカミノルタと画像解析AIやローカル5Gを用いた実証も行っている。
NECが提案する製造現場における映像データ活用
NECはデータを活用したDXを提案しており、「NEC ビデオマネジメントシステムアプライアンスサーバ」を用いた「ビデオマネジメントシステム」を紹介した。
活用例の1つとして、立ち入り禁止エリアへの進入時にアラートを発するモーション検知のデモが展示された。検出エリアを指定し、その中への進入(動き)を検知するとアラートを発すると同時に、検知した時間などを記録することが可能だ。検知した時間はすべて記録され、後から確認することができる。
また、この映像ソリューションにAIを組み合わせることで、どの作業を行っているかを認識して検知する「作業種別認識」や「作業時間の取得」、「作業者の合図検知」といった「NEC ものづくり映像AI分析ソリューション」が参考出展として紹介された。
もう1つ、参考出展として紹介されていたのは量子アニーリングを用いた生産計画最適化だ。
NECは1999年にゲート型の量子コンピュータに用いる超伝導量子ビットを開発し、その技術を応用して組み合せ最適化問題を高速・高精度に解くことができる超伝導パラメトロンを用いた量子アニーリングマシンの研究開発を行うなど、量子コンピューティングの社会実装を目指している。
その量子コンピューティング技術を用い、生産計画を最適化する取り組みを行っており、社内実証を行っているという。
そのほか、CO2や水の使用量などを見える化する環境パフォーマンス管理ソリューション「GreenGlobeX」やERPシステム「IFS Cloud」、PLM「Obbligato」などの展示を行った。
これらの展示ソリューションを用いた未来の工場の姿をVRなどで紹介するプレゼンテーションもブースで見ることができる。