東日本電信電話 東京事業部 東京武蔵野支店(以下、NTT東日本)、調布市、ビオストック、NTTアグリテクノロジーは6月23日、調布市立 深大寺小学校と共同で、学校給食における調理残菜の利活用による再資源化をテーマとした食育の取り組みを実施した。
当日は食育の一環として、深大寺小学校の4年生約70名が「NTTe-City Labo」(東京都調布市)を訪れ、施設内に設置されたバイオガスプラントが稼働する様子を見学した。前日に給食で提供されたゴーヤチャンプルーの調理残渣を用いてデモンストレーションが行われていた。
NTTe-City Laboは同社の中央研修センター内に設置されている、地域課題の解決を目指すソリューションを体験可能な実証フィールドの総称だ。2022年5月に開設を迎えており、スマート農業のソリューションやドローン、e-sportsなどの先端的な技術を体験できる。
NTT東日本グループのビオストックは2022年より、従来型よりも小さな敷地に設置可能なコンテナ型のバイオガスプラントの販売を開始した。食品残渣からメタン発酵によりバイオガスを生成し、熱や電気エネルギーとして再利用するものだ。
同社はこれまでにも、同社の社員食堂の食べ残しや農地の廃棄物を活用して食品リサイクルに取り組み、再生可能エネルギーを回収しながら消化液を肥料として利用する実証実験を行っている。
また、NTTe-City Laboが位置する調布市は、食育推進基本計画に基づいて学校などの教育機関におけるイベントの実施など食育への取り組みを進めている。深大寺小学校では給食の食前および食後に児童がタブレット端末で写真を撮り、家族に見せることで会話のきっかけにしているという。そのほか、校長や教員が野菜の着ぐるみを着て各教室を回る「野菜嫌い克服大作戦」など、ユニークなイベントも実施しているそうだ。
今回児童らは、ビオストックのバイオガスプラントが給食調理残菜から再生可能エネルギーや液体肥料が生産される仕組みについて学び、ここで作られた液体肥料を花壇に撒く循環型のエネルギー活用について理解を深めた。
このプラントは約10キログラムの食品残渣から約400ワットの電気を生成する。講師を務めたビオストック社員から「Nintendo Switchを25台から30台ほど充電できる」と聞いた児童は驚きの声を上げていた。
NTTe-City Laboでは、ローカル5G実証ハウスを用いてトマト栽培も手掛けている。そこでは、4Kカメラやスマートグラス、遠隔操作走行型カメラなどでハウス内の状況を撮影し、施設と20キロメートルほど離れた農林総合研究センター(東京都立川市)へ映像データを伝送する。
このように、指導員が遠隔地から効率的に監視できるよう、省人化と省力化を支援することで、小規模分散型な都市部農業を効率化することが期待される。従来は週に1回程度の現地技術指導を行っていたが、同施設では遠隔地から毎日5分から10分間の映像を確認するだけで同程度の作業ができるようになったという。日々の変化に応じた適切な対応が可能となるため、農業未経験者でも定植から出荷まで対応できているようだ。
ローカル5G実証ハウスで栽培されたトマトは、同日の深大寺小学校の給食でトマト担々麺として提供された。これまで学校で学んできた食育に対して、今回の実証実験はハウス見学などを通じてさらなる理解醸成を狙う取り組みだったようだ。
同校では、3年時に社会科として自分たちが住む調布市について学んだ後、4年時にはごみ処理について、食料調達は5年生で学ぶ予定だ。今回は4年生が見学に訪れたが、教室での授業だけでは得られない経験となっただろう。
今回見学に参加した児童は「私たちがいつも食べている給食から出るごみが再利用できると知り感動した。だからといってごみを出すのではなく、普段の生活の中でなるべくごみを出さないように工夫したいと思った」と語ってくれた。