Microsoftは6月21日(米国時間)、「Microsoft's framework for building AI systems responsibly」において、AIシステムを開発する上での責任についてまとめたガイドライン「Responsible AI Standard, v2」を公開した。これに伴って、顔認証サービスであるAzure Faceにおいて、感情やID属性を推測するいくつかの機能を廃止することも発表した。

Responsible AI Standardは、AIシステムを開発する上で、開発者や開発組織が負うべき責任やそれに伴う開発要件などを定義したガイドラインである。既存の法律や規範がAI特有のリスクや社会的ニーズに対して必ずしも追いついていないという現状を鑑みて、Microsoftでは組織が責任を持ってAIを開発・導入するための実行可能な規範の構築に取り組んできたという。「Responsible AI Standard, v2」はそのためのステップの一つとして作成され、フィードバックを得て議論を活発化するために公開されたとのこと。

  • Responsible AI Standardのコアコンポーネント(引用:Microsoft On the Issues)

    Responsible AI Standardのコアコンポーネント 引用:Microsoft On the Issues

当然ながら、このガイドラインにはMicrosoft自身のサービスも積極的に適合させていく計画である。その取り組みの一環として、今回、Azure Faceから、対象の感情的な状態やID属性を推測できるAPIへのアクセスを遮断する方針を決定したという。具体的には、性別や年齢、笑顔、顔の毛、髪の毛、化粧などの情報が提供されなくなるとのことだ。

この理由について、Microsoftは、「感情」の定義に関する科学的コンセンサスの欠如、地域や人口統計全体で推論を一般化する方法に関する課題、およびプライバシーへの懸念の高まりなどを考慮したと説明している。2023年6月30日以降、これらの検出機能にはアクセスできなくなる。

Microsoftは、「より良く、より公平な未来には、AIのための新しいガードレールが必要であり、Responsible AI Standardはこの目標に向けた1つの貢献」と説明している。同社ではResponsible AI Standard, v2に対するフィードバックを広く募集しているとのことだ。