米オラクルは6月21日(現地時間)、「Oracle Cloud Infrastructure」について、「OCI Dedicated Region」のより低いエントリ・ポイントおよび「Compute Cloud@Customer」のプレビューを発表した。

「OCI Dedicated Region」は、マネージドサービスも含めOracle Cloudが提供するサービスをユーザーの環境にデプロイして、リソースを利用した分だけ料金を支払えばよいサービスだ。

同サービスは、これまで50ラック分のハードウェアと年間費用600万ドルが最小のフットプリントだったが、今回、12ラック分のハードウェアと100万ドルの年間費用のフットプリントが発表された。新しいフットプリントにおいては、必要なデータセンター・スペースと電力量を平均で60~75%削減できるという。

オラクル・コーポレーション OCI プロダクト・マネジメント担当バイス・プレジデントのLeo Leung氏は、「エントリ・ポイントを下げることで、OCI Dedicated Regionをより多くの組織に活用してもらいたい」と語っていた。

  • オラクル・コーポレーション OCI プロダクト・マネジメント担当バイス・プレジデント Leo Leung氏

  • 年間費用が600万ドルから100万ドルに下がった「OCI Dedicated Region」の新しいフットプリント

一方、「OCI Compute Cloud@Customer」は、「OCI Dedicated Region」よりも小規模な環境向けのラック規模のソリューションだ。同ソリューションにより、ユーザーはオンプレミスのOCI互換のコンピュート、ストレージ、ネットワーキング上でアプリケーションを実行できるようになる。1ラックから導入可能だという。

Leung氏によると、「OCI Dedicated Region」はオンプレミスの環境をオラクルが管理するのに対し、「OCI Compute Cloud@Customer」は、クラウドベースで管理が行われるという違いがあるそうだ。

ちなみに、オラクルは「OCI Dedicated Region」と「OCI Compute Cloud@Customer」も含め、ハイブリッドクラウドソリューション(オラクルは「分散クラウド・サービス」と呼んでいる)を複数展開している。同社は、用途やワークロードの数に応じて、分散クラウド・サービスの使い分けることを想定している。

  • オラクルが提供する「分散クラウド・サービス」のラインアップ

Leung氏は、「OCI Dedicated Regionはオンプレミスでフルレンジのクラウドを利用することができ、OCI Dedicated Regionはワークロードが多くて数十個の環境に適している」と説明した。

「OCI Dedicated Region」だが、6月22日、野村総合研究所が自社東京データセンターに次いで、大阪データセンター内導入し、同社の資産運用ソリューション「T-STAR」のサービス基盤および災害復旧(DR)環境を自社東京、大阪データセンター内の「Oracle Cloud Infrastructure(OCI)」上で稼働開始したことを発表している。

なお、Amazon Web Services(AWS)など他のクラウドベンダーも当然、「分散クラウド・サービス」を提供している。そうした競合に対するアドバンテージについて、Leung氏は次のように語っていた。

「AWSが提供しているLocalzoneやOutpostsはサブセットにすぎない。そのため、パブリッククラウドにアクセスしなければならないので、通信が発生するし、不足している部分があると考えている。ハードウェアも別途買わなければいけない。われわれはフルマネージドサービスとしてさまざまな形態で提供することができる」