ウミトロンは6月23日、くら寿司の子会社であるKURA おさかなファームと協働し、AI・IoT技術を活用したスマート給餌機「UMITRON CELL」を用いてハマチのスマート養殖に日本で初めて成功したことを発表した。このハマチは、回転寿司チェーン「くら寿司」の全国店舗にて「特大切り AIはまち」として、6月24日(金) から6月26日(日) まで限定販売されるという。

近年、漁業における「人手不足」「不安定な収入」「労働環境の厳しさ」などが大きな課題となっていることを背景に、くら寿司では 2010年より「漁業創生」をテーマにさまざまな活動を行っており、スマート養殖による委託養殖を進める取り組みとして、2021年春からウミトロン開発のAI・IoT活用のスマート給餌機「UMITRON CELL」を導入しているという。

「UMITRON CELL」は、スマートフォンなどの端末から生け簀で泳ぐ魚のリアルタイム動画を見ながら遠隔で餌やり操作が可能。また、AIが魚の食欲を判定し、餌量やスピードを最適化、制御することができるため、労働負荷の削減と餌の最適化、海へ餌が流出することを防ぎ環境に配慮した養殖業の実現に貢献している。

  • 「UMITRON CELL」

ウミトロンは、過去にハマチの稚魚期でスマート給餌機「UMITRON CELL」を活用した生育試験は実施していたものの、成魚まで生育した実績はなく、2021年6月から開始した、KURA おさかなファームおよび委託養殖先である養殖事業者との生育実証試験により、ハマチを成魚まで生育・出荷を実現したという。

ハマチは一度に多くの餌を食べるため、無駄なく生育に必要な量を食べさせられるよう、一度に短時間で大量の餌を船上から生け簀に機械で投入しながら、人が目視で食欲状態を確認する給餌方法が一般的だという。

しかし、今回の実証実験では、スマート給餌機に切り替えてもこれまで通りに成育することが分かり、さらにAIで解析した魚の食欲に応じて給餌することで、餌の量を従来比約1割削減することに成功したという。

初出荷となる今回は、約20トンを水揚げし、全国のくら寿司で「特大切り AIはまち」として販売される予定。「特大切り AIはまち」は、6月24日〜6月26日の期間限定で220円で発売されるという。 

  • 特大切り AIはまち