世界的なデジタル化などの波に乗り、電子機器などの出荷が好調で電力管理IC(PMIC)市場も好調となっている。台湾の半導体市場動向調査会社であるTrendForceによると、2022年下半期のPMIC市場は、自動車用スイッチングレギュレータとマルチチャネルPMICの需要が大きくなる見込みだという。
分野別にPMIC市場を見ると、民生分野では、デイスプレイパネル、家電製品、およびノートブックPC市場で比較的単純な機能と構造を備えたリニアレギュレータとスイッチレギュレータの需要が上半期より減少してきており、下期の注文は前期比15~30%ほどの減少と予測されるとしている。ただし、リードタイムが長めのマルチチャネルPMICは、OEMおよびODMが在庫を2か月未満のレベルに抑えるため、下半期も価格競争力自体は維持される模様だという。
一方の産業用制御および自動車分野は、PMICに対して、電圧精度、温度制御、および信頼性に対して、より高い要件が求められる重要市場となっている。これらの分野は、IIoTや自動車のEVシフトに伴って需要が増加、価格も維持されると見られるが、これらの分野は、Texas Instruments(TI)、Infineon Technologies、Analog Devices(ADI)、STMicroelectronics、onsemiなどの大手が長年にわたって市場を有しており、中小ファブレスのシェアは低い状況が続いている。
市場の61%を占めるIDMの場合、新規注文のリードタイムは、スイッチレギュレータの平均が36〜46週間、マルチチャネルPMICで40〜50週間とされている。ただし、元のリードタイムが52週間を超える既存の注文の中には、4〜16週間ほど早く発送できるものもあるという。一方、中小ファブレスPMICサプライヤの場合、製品仕様や適用分野がIDMメーカー並みではないため、リードタイムは一般的に大手IDMよりも短く、通常は28週以下だとしている。
なお、過去1年間のPMIC不足によりIDMもファブレスも値上げによって利益を拡大させたが、その後、ウェハの生産能力が拡大し、リードタイムが徐々に正常化するにつれ、価格下落圧力が増していることから、2022年下期のさまざまなアプリケーション分野にて、承認済みベンダーリスト(AVL)の優先ベンダーは引き続きバランスの取れた需要と供給の状態を維持するものの、製品タイプが1つしかなく、アプリケーション分野が限られた非優先ベンダーは、大量の在庫をさばくために価格を下げる必要が生じると見られるとTrendForceでは予想しているが、全般的に見た場合、IC製品のサブセットとしてのPMICの需要は2022年下期を通して比較的に安定して推移するとみられるしている。