新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)、パナソニック・ホールディングス、東北大学、大阪教育大学(大教大)、秋田大学、芝浦工業大学(芝浦工大)の6者は6月21日、NEDOの「戦略的省エネルギー技術革新プログラム/ナノソルダー実用化による製造プロセス省エネ化技術の開発」プロジェクトの一環として、従来よりも低い温度で電子部品を接合でき、接合後はパワーデバイスに必要な耐熱性が得られるナノソルダー接合材料を開発したことを発表した。
同成果は、パナソニック マニュファクチャリングイノベーション本部、東北大学大学院工学研究科 応用化学専攻の林大和 准教授、大教大 理数情報教育系の成田一人 准教授、芝浦工大 工学部電子工学科の小池義和 教授らの研究チームによるもの。
パワーデバイスは今後、電力損失の低減や小型化が可能なGaNやSiCへの移行が進むことが見込まれている。これに伴い、動作温度は175~200℃に上昇し、これまでの接合材料であるはんだでは、接合信頼性を保つことができなくなってしまうとされている。
そのため、現在は耐熱温度の高い銀ナノペーストのような焼結材料の開発が進められているが、接合に要する時間が長いこと、ならびに組立工程における消費エネルギーが増加するという課題があったという。
パナソニックは、はんだの耐熱性を高めることを目的に、はんだの主成分であるスズに固溶するインジウムに着目。同元素を添加した高耐熱鉛フリーはんだを製品化済みだという。しかし、スズとインジウムの組み合わせではインジウムの固溶量に限界があるため、パワー半導体で求められる耐熱性まで向上させることができなかったとする。
低融点化と耐熱性を両立させるためには、低温で溶けてベースとなる液相を作り出す低融点金属のマイクロ粒子と、短時間で拡散反応を完了させるために表面積を大きくした高融点金属のナノ粒子を組み合わせた複合接合材料の実現が不可欠であり、こうした背景を踏まえ、パナソニックはNEDOのプロジェクトにおいて、4大学と共同で、従来よりも低温度・短時間で電子部品を接合でき、接合後は200℃の耐熱性が得られるナノソルダー接合材料の開発を進めることにしたという。プロジェクトは2018年度からスタートし、今回、ナノソルダー接合材料による低温・短時間プロセスでの耐熱性確保に成功した。
2022年6月27日訂正:記事初出時、研究参加者として、東北大大学院 工学研究科の藤原巧 教授のお名前を記載しておりましたが、正しくは、東北大学大学院工学研究科 応用化学専攻の林大和 准教授となりますので、当該部分を訂正させていただきました。ご迷惑をお掛けした読者の皆様、ならびに関係各位に深くお詫び申し上げます。