東北電力とトッパン・フォームズは6月21日、特殊インキで電気回路を印刷する「印刷配線」と電磁界や電波などの無線通信を用いてICタグなどの情報を非接触で読み書きするRFID(Radio Frequency Identification)を組み合わせて、油や水、水性薬品などの液漏れを検知するシステムを開発したことを発表した。2022年6月から東北電力の新仙台火力発電所にて実証実験を開始するという。
同システムの検知部の電気回路は油や水、水性薬品などが付着すると通電状況が変化する特性を持つ。その変化を検知部に接続されたICタグによって感知し、RFIDリーダーを用いてICタグのID情報と共に検知部の通電状況を取得して液漏れの有無を確認する。
東北電力は配管設備の監視業務の高度化を進めているが、その中でトッパンフォームズのRFID技術に着目し、2019年度より両社で開発を開始したとのこと。従来は作業員が目視で行っている配管監視業務にRFID技術を活用することで、液漏れの早期発見や作業品質の均一化、それに伴う被害の最小化を図るとしている。
これまでの作業員による目視確認では、配管を覆う外装板から液体が染み出た状況でなければ発見が困難だった。しかし、今回開発したシステムは外装板の内部に検知システムを設置できるため、液漏れ量が少ないうちに早期発見が可能となる。また、遠距離から読み取りが可能なRFIDの特徴を生かして、従来では作業員の目が届きにくかった箇所の点検も可能になったとのことだ。
また、同システムで設置するICタグはリーダーからの電波で起動するため、電源の確保や電池交換のためのメンテナンスが不要だ。電源の確保が必要な一般的なシステムでは設置が難しい箇所でも利用可能となる。なお、同システムに用いている印刷配線の技術は、金属配線による検知回路作成に比べて原材料を削減し安価かつ大量に製作できる利点があるという。