凸版印刷は6月20日、日本語指導が必要な生徒の日本語学習を支援することを目的に同社が2021年から茨城県内の6つの中学校で進めてきた、ICT学習サービス「navima」の読解力向上支援コンテンツを活用した実証研究の結果を発表した。オンライン教材を用いた学習支援における日本語学習の有効性や、生徒がつまずきやすい項目を確認するとともに、指導の効率化に効果があることが確認できたという。

  • 実証研究での「navima」活用 (c)TOPPAN INC.

    実証研究での「navima」活用

この実証研究では、茨城県の散在地域に居住する日本語指導が必要な生徒に対し、通常授業とは別に行われる個別指導において、教材の一つとして「navima」のコンテンツをインターネット回線により遠隔で提供。筑波大学の学生が「日本語サポーター」として、オンライン上での学習支援を行った。

また、さらなる日本語学習を希望する6名の生徒に対して、週1回50分の「navima」の読解力向上コンテンツを使用した「読解クラス」を実施し、少人数での学習支援を行いながら「navim」読解コンテンツの問題に取り組み、「navima」の解説文や解説動画を活用してより理解を深める解説内容・解説方法を探ったという。

「navima」の単元構成に基づき、接続助詞による構文や比較文などいくつかの文法項目に分けた「読解力テスト」を実施し、「読解クラス」に参加した生徒に対して実証の終了時期にアンケートを実施した結果、得点率が4割から9割まで上昇した生徒を含め、全体で得点率が上昇したという。「読解クラス」に参加した生徒からは「文章を早く理解できるようになった」といった回答を得られ、少人数制の「読解クラス」設置の効果を確認したという。「navima」の文法項目ごとに設定された問題を活用することにより、「日本語サポーター」が担当生徒の苦手な問題の把握が容易となることから、指導の効率化の効果を確認したという。

凸版印刷は、今回得られた実証結果をもとに、日本語指導が必要な生徒が特につまずきやすいと思われた項目を中心に、さらに検証し、その結果を「navima」の読解力向上支援コンテンツ強化につなげていくとしている。また、日本語指導が必要な生徒向けに、学校での教科を学習していく上で必要な学習言語能力の向上を目指した改修を検討。2024年度には、有効な日本語学習支援ツールとして日本語指導が必要な児童・生徒を多く抱える自治体や、散在地域の自治体への導入を目指すとしている。