AGCは6月20日、2020年より開発を開始したマテリアルズ・インフォマティクス(MI)データベース(DB)「AGC R&D Data Input & Storage(ARDIS、アルディス)」、ならびにMI専用分析ツール「AGC Materials Informatics Basis Analysis Tool(AMIBA、アミバ)」を自社のR&D部門にて本格利用を開始したことを明らかにした。
自社の特性を考慮したMI活用のためにツールを開発
近年、機械学習をはじめとするAI技術の進化を踏まえ、情報科学と計算科学の手法を組み合わせて新しい機能(物性)を持つ材料を、人手での探索より早く発見しようという試みであるMIの活用が進められている。
「ガラス」「電子」「化学品」「セラミックス」の事業領域で新たな価値創造に挑戦しているAGCもそうした1社で、2020年ころより、同社のスマートR&Dチームが、ARDISならびにAMIBAの開発を進めてきたという。
同チームは、以下の3つの活動スコープを掲げ、研究開発を進めてきたとのことで、こうした取り組みを前提に、「MIコンサル」と呼ぶ社内コンサル的な活動も実施するなど、部署ごとにどのようなMI技術や人財が必要なのかの整理を行い、教育プログラムや必要なツールなどの提供を進めてきたとする。
- R&Dをスマート化し、あらゆるデータを事業と未来につなぐ
- マテリアルズ・インフォマティクス(MI)を実装し、データを最大限に活かす
- MIを学び・使い・活かすためのツールと機会を提供し、データの活用を広める
ちなみに、AGCにおけるMIの定義は以下の2つとなっている。
- データサイエンスによる材料開発(機械学習、シミュレーションを用いた革新的な材料開発)
- それを支えるインフラ基盤(電子実験ノート、データベースシステム、自動実験・スマートファクトリー)
今回の発表は、同社の2つの研究所(材料融合研究所、先端基盤研究所)における研究チームなどの7割ほどが導入を果たし、本格的な導入のめどが立ったことを受けて行ったもの。2025年には材料融合研究所で100%、先端基盤研究所でも100%近い割合まで導入割合を引き上げる予定としている。