昨今、AWS利用時にはマルチアカウント構成をとることが一般的です。複数のAWSアカウントを効率的に管理することを目的に、「AWS Organizations」やAWS Organizationsと連携させて使えるAWSサービスの利用を検討する運営担当者も多いでしょう。

しかし、AWS Organizationsと連携可能なサービスは30種類以上あります。そのため、「どれを使えばよいかがわからない」「実際に利用してみると、イメージと違う機能だった」「想定外の制約があったりして、思ったよりもうまく活用できなかった」という声を聞くことも少なくありません。AWS Organizations連携サービスは、「こんな風に使えそう」というイメージが先行してしまいがちなのも、ミスマッチの原因の一つでしょう。

実は、筆者が所属するNTTデータでは、100以上のAWS Organizationsの管理実績があります。そこで本企画では、AWS Organizationsとの連携によって生じる制約や実際に使える機能などを踏まえ、本当に利用すべきAWS Organizations連携サービスと、あまり利用は勧めないAWS Organizations連携サービスを前編、後編の2回にわたって紹介します。

連携サービスをオススメ度に応じて3つに分類!

まずは、オススメ度に応じて、AWS Organizations連携サービスを以下3つのカテゴリに分けました。

  • 絶対に利用するべきAWS Organizations連携サービス
  • 条件によっては利用を検討するAWS Organizations連携サービス
  • あまり利用は勧めないAWS Organizations連携サービス

各サービスのオススメ度と、実際に使う際、利用していることが前提となるサービスは以下の通りです。

オススメ度 サービス名 利用前提サービス
★★★ AWS CloudTrail なし
★★★ AWS Config AWS CloudFormation Stacksets
★★★ Amazon GuardDuty なし
★★★ AWS CloudFormation Stacksets なし
★★★ AWS Single Sign-On なし
★★ AWS Account Management なし
★★ AWS Backup AWS CloudFormation Stacksets
★★ AWS Control Tower AWS CloudTrail、AWS Config、AWS CloudFormation Stacksets、AWS Single Sign-On、AWS Service Catalog
★★ AWS Compute Optimizer なし
★★ Amazon DevOps Guru AWS CloudFormation Stacksets
★★ AWS Firewall Manager AWS CloudFormation Stacksets、AWS Config、AWS Resource Access Manager
★★ Amazon Macie なし
★★ AWS Marketplace AWS License Manager
★★ AWS License Manager なし
★★ AWS Security Hub AWS Config、AWS CloudFormation Stacksets
★★ Amazon VPC IP Address Manager AWS Resource Access Manager
★★ IAM Access Analyzer なし
★★ Amazon S3 Storage Lens なし
★★ AWS Service Catalog なし
★★ AWS Systems Manager なし
★★ タグポリシー なし
★★ AWS Trusted Advisor なし
AWS Artifact なし
AWS Audit Manager AWS Security Hub、AWS Config、AWS CloudFormation Stacksets
Amazon Detective Amazon GuardDuty、AWS CloudFormation Stacksets
AWS Directory Service AWS Resource Access Manager
AWS Health なし
AWS Resource Access Manager なし
Service Quotas なし
AWS Identity and Access Management なし

★★★:絶対に利用するべき/★★:条件によっては利用を検討する/★:あまり利用は勧めない

これらの中から、以降では“絶対に利用するべきOrganizations連携サービス”を紹介します。

なお、各サービスの中には、AWS Organizationsと連携すると単体利用時に比べて機能拡張されるものがあります。基本的には単体利用時よりもできることが増えるのですが、単体でできていたことができなくなるケースもあるので留意してください。