半導体を含む米国の産業競争力を強化する法案が、バイデン大統領やレモンド商務長官の再三の要請にもかかわらず、いまだに連邦議会で最終的に可決成立せず、そのめども立っていない中、米国の主要企業123社のCEOらが、米国連邦議会が競争力強化法案の速やかな可決を要請する書簡を連邦議会に6月15日付けで送ったことが明らかになった。
送り先は、Pelosi下院議長、Schumer上院民主党院内総務、McConnel上院共和党院内総務、およびMcCarthy下院共和党院内総務で、差出人には、AMD、Analog Devices(ADI)、GlobalFoundries、Infineon Technologies、MediaTek、Micron Technology、NVIDIA、NXP Semiconductors、Samsung Electronics、Texas Instruments、TSMC、Tower Semiconductor、Western Digital、Wolfspeedなどの米国内外の半導体企業のほか、Applied Materials、Tokyo Electron U.S.、Toppan Photomaskなどの米国内外の装置・材料メーカー、IBM、HP、American Honda Motor、Microsoftなどといった主要産業分野の大手企業のCEOおよび同等職の肩書を有する123名の氏名が記載されている。
この文書を要約すると「米国経済の主要セクターの企業を代表し、数百万人の米国人を雇用している企業のCEOである我々は、米国の競争力強化法案を早急に可決するために超党派議員らが法案内容に妥協することを呼びかける。議会で審議中の競争力強化法案は、米国経済、国家安全保障、およびサプライチェーンの回復力にとって重要である。米国のグローバルな競争相手は、すでに先行投資を行っており、この法案が可決成立するのを待ってはくれない。今こそ、議会はこの重要な法案に関する作業を完了すべきである」というものとなっている。
SIAが書簡に賛意を表明
また、米国半導体工業会(SIA)が、この書簡に賛意を表明する声明を6月15日付けで発表している。その中でSIAプレジデント兼CEOであるJohn Neuffer氏は、「署名者の幅広さによって示されるように、米国の経済、労働力、国家安全保障、および技術的リーダーシップは半導体の上に構築されている。米国の半導体エコシステムへの連邦政府の投資は、米国が明日の重要な産業分野をリードし続けることを保証すると同時に、数十万の米国のハイクラスな雇用を創出し、経済を強化し、今後数十年にわたってサプライチェーンを確保する」と述べている。
バイデン大統領やレモンド商務長官はじめ関係者が再三催促しているにもかかわらず、半導体法案が可決される見通しはいまだに立っていない。一方で、可決を待つことなく米商務省は、海外半導体メーカーのみならず、ASMLはじめとした海外の装置・材料メーカーに対する米国誘致や既存米国内施設への投資要請を進めつつある。