NXP Semiconductorsは現地時間の6月14日、新しいマイコン(MCU)ポートフォリオとしてMCXシリーズを発表したが、これに関する説明会が6月16日(日本時間)に行われたので、その内容をご紹介したい。
元々NXPは、オリジナルで開発・提供していたLPCシリーズのMCUに加え、Freescale Semiconductorの買収によってKinetisを始めとする多くのMCUシリーズを一挙に扱う事になったが、いささかラインナップが煩雑化しているうえに、最近のトレンドであるセキュリティ対策やAI性能などでは色々見劣りし始めていた。
そこでラインナップの刷新に合わせて、製品ラインを統合する事を決断したようで、この新ラインがMCXシリーズということになる(Photo01)。
厳密に言えばこれは汎用MCUだけだし、車載向けはまた別(S12/S32/MPC-LC/etc……がラインナップされている)が、全部を一度に手を付けるつもりはないようだ。
その新ラインナップがこちら(Photo02)。
ローエンドはエッセンシャル向けの「MCX A」、汎用はアドバンスドに位置づけられる「MCX N」と低消費電力に位置づけられる「MCX L」を用途に応じて選択、Kinetis Wの代替が「MCX W」という事になる。特徴であるが、まず基本的にNPU(対象はMCX N)を統合したほか、MCUXpressoでの開発が可能になるとする(Photo03)。
開発の容易さとスケーラビリティを両立するために、基本構成を揃える形にした形だ(Photo04)。搭載されるNPUは、i.MX93などに搭載されるEthos-U65ではなく、独自開発のものである。なのでこちらも当然Ethos-U65とは互換性が無いが、eIQでは同じように扱える形になるとの事だ。セキュリティに関しては同社のEdgeLockを搭載する事になっている。
今回はMCXシリーズ全体の発表であり、まだ具体的な製品SKUなどはPhoto02に出て来た以上の事は未公開である。今月開催されるEmbedded WorldでMCX Wのデモが行われるほか、MCX Nも用意されており、両製品とも今年第4四半期の投入を目指しているとの事。MCX A/Lは2023年投入になるとの事だ。製造プロセスは40nmフラッシュプロセスとのことであった。
ちなみに今後も全製品Cortex-M33ベースか? というとそのあたりはまだ検討中だそうで、今後はCortex-M23/35などを搭載した製品が加わる可能性もあるかもしれない。またKinetisと一緒に提供していたFreedom Platformに関しては現在検討中でまだ具体的には決まっていないとの事だった。