6月14日、ノルウェーのオスロに本社を置き、さまざまなデバイスがシームレスにつながるWeb会議ソリューションの開発・販売を行うPexipは、同社として日本初となるメディア向け事業説明会をノルウェー大使館で開催した。
説明会では、Pexip AS アジアパシフィック地域 社長のポール・ペッターセン氏、Pexip Japanカントリーマネージャーの田野 豊氏が、日本国内外における実績と今後の展開、国内パートナーの拡充などを紹介したほか、冒頭ノルウェー大使館 公使参事官 リーネ・アウネ氏が登壇し、自国の企業をアピールする場面もあった。
「裁判」でも活躍? セキュリティに注力するPexipのWeb会議ツール
初めに登壇したポール・ペッターセン氏は、同社の概要や今までの実績について説明した。
Pexipは、2011年に設立され、現在では34カ国に550名の社員を抱えるWeb会議ソリューションの開発・販売を行っている企業だ。「従来のビデオを超えた世界へ」という言葉のもと、アプリケーションの機能の向上を図り、企業のコミュニケーションや成果の向上に寄与する取り組みを行っているという。
ミッションとしては「ビデオによる安全でストレスを感じない、有意なコネクションによって企業が期待する以上の結果を創出すること」を、また、ビジョンとしては「ビデオアプリケーションの考え方や見方を大きく変え、より優れたビジネス成果の達成を可能にする」ことを掲げている同社。
患者と医療機関をつなぐ役割や、市民の公共サービスに対するアクセシビリティの向上、充実したカスタマーサービスの提供などを担っているという。
その中で筆者が最も関心を持ったのは「裁判」への活用だ。 裁判所に集まらずにWeb会議を通じて裁判を行う形態は、日本でも5月に、「民事裁判や離婚調停を全面的にIT化する民事訴訟法などの改正案」が可決され、注目すべき事案となっている。
そうした中で、同社のソリューションは政府機関のオンラインミーティングでも活用されるほど、セキュリティの面で信頼を得ており、海外で進む「仮想裁判所」で活用されているという。それだけ信頼性が高いいことが同ソリューションの大きな強みと感じられた。
Pexipの日本における事業拡大の理由は「セキュリティへの意識の高さ」
続いて登壇したのは、Pexip Japanカントリーマネージャーの田野 豊氏だった。
田野氏は、日本国内における2021年から2023年にかけての同社の戦略について語った。
2021年は「コネクティッドスペース」分野について注力し、異なるエンドポイントとプラットフォームの統合やハイブリッドへの効果的な移行を可能にする迅速なデプロイメントが行われたという。
2022年に関しては、「セキュアスペース」について強いメッセージを送りながら事業を展開しているという。元々、政府関係者にも使用されているセキュリティに強みを持つ同ソリューションだが、より一層、データの保護や顧客に合わせた完全カスタマイズなどに注力しているという。
2023年は、デジタルファーストへ変化していくことを考慮し「ビデオイノベーション」に力を入れる方針だという。オンライン会議の際に、遠くに座る参加者の表情がわかるようにズームをし、より臨場感のある会議にするような機能を搭載するなど、よりコミュニケーションが取りやすいツールとしてサービスを拡充していくという。
田野氏は、「裁判関連での使用や、小売り・金融業界などをメインターゲットに、BtoBに限らずBtoCへの販売にも注力していきたい」と語った。
また個別にペッターセン氏に「なぜこのタイミングで日本での事業拡大に踏み切ったのか」を聞いたところ、次のような答えが返ってきた。
「欧州やアメリカで事業を進めている中で、自然とアジア進出が次の課題となっていました。アジアの中でも、日本は特に『島国』としてセキュリティへの意識が高いということもあり、当社のソリューションが完璧にフィットすると考えられました。また、新型コロナウイルスや東京五輪の影響で働き方改革が進んだことを受けて、Web会議を受け入れていく土壌ができているこのタイミングこそ、われわれのソリューションが日本で受け入れられると思い、事業拡大に踏み切りました」