神戸大学と玉川大学は6月9日、心血管リスク因子(肥満、高血圧)と低体力が社会脳ネットワークに関係する脳活動の低下を介し、社会的認知機能の低下と関わることを明らかにしたと発表した。

同成果は、神戸大大学院 人間発達環境学研究科の石原暢助教、早稲田大学グローバルエデュケーションセンター宮崎淳助教、玉川大 脳科学研究所の田中大特任助教、同・松田哲教授らの共同研究チームによるもの。詳細は、米国スポーツ医学会が刊行するスポーツ医学と運動科学を扱う機関学術誌「Medicine & Science in Sports & Exercise」に掲載された。

WHOの2021年の発表によれば、過去40年で肥満の割合が3倍に増加するなど、心血管リスク因子を持つ人の増加は公衆衛生上の懸念事項となっている。また、ここ40年で人々の心肺持久力が低下していることを示すデータもあるという。そして、心血管リスク因子と低体力が記憶や注意力などの認知機能の低下と関わることが示されてきている。しかし、社会的相互作用の基盤となる社会的認知機能に焦点を当てた研究はこれまで行われていないとする。

社会的認知機能は、社会生活や精神的健康に重要な役割を果たしていることを考慮すると、心血管リスク因子を持つ人や低体力者が社会的認知機能低下のリスクを抱えているのかどうかを明らかにすることは、重要な課題であると考えられることから、研究チームは今回、心血管リスク因子および体力と社会的認知機能の関係を、機能的磁気共鳴画像法(fMRI)を用いて調べることにしたという。