2025年にも有人月面着陸を目指す米主導の「アルテミス計画」で飛行士が着用する次世代の宇宙服について、米航空宇宙局(NASA)は開発を担当する企業2社を選定した。運用中の国際宇宙ステーション(ISS)の船外活動や、火星飛行に向けた実証などでも使われるという。
NASAの発表によると、2社は航空宇宙企業アクシオムスペース社とコリンズエアロスペース社。ア社は4月、民間初のISS滞在事業を成功させた。両社はNASAとの間で、2034年まで最大35億ドルの「探査船外活動サービス(xEVAS)」の契約を結び、宇宙服と関連する船外活動機能一式の設計や開発、製造を目指す。NASAが宇宙服の技術や安全の基準を定義し、両社がこれらに同意したという。今月2日発表した。
両社は開発した宇宙服を所有し、NASA以外の商業活動で用いることができる。宇宙産業を振興しつつ、得られる知見をNASAの活動にも生かす狙いがある。NASAジョンソン宇宙センターのバネッサ・ウィシュ所長は「NASAとパートナー企業は、かつてないほどの探査を可能にする高度で信頼性の高い宇宙服を開発する。産業界と協力して米国人をISSでの成功に導き、月面探査に狙いをつける技術を効率よく前進させる」とした。
米国は2020年代に国際協力で月上空に宇宙基地「ゲートウェー」を建設し、25年にもアポロ計画以来となる月面着陸を目指すアルテミス計画を進めている。日本も19年に参画を決定。20年には文部科学省とNASAが、日本人の着陸機会に言及した共同宣言を発表した。先月23日の日米首脳会談では日本人の月面着陸も話し合われたという。バイデン米大統領は「アルテミス計画で月面の任務に参加する最初の日本人飛行士を楽しみにしている」とした。
一方、アルテミス計画で使われる大型ロケット「SLS」の開発は技術的課題などで遅れを重ねている。いくつかの要因から、計画は遅れるとの見方もある。
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は月面活動を視野に、新たな飛行士の選考を進めている。新しい宇宙服に日本人が袖を通し、月面に立つ日が待たれる。
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