日立製作所(日立)は6月10日、ドローンやロボットなどと連携したAI(人工知能)画像診断システムを活用し、目視確認など人手の作業に依存していたプロセスを自動化する「設備点検AIプラットフォーム」を開発したと発表した。
同プラットフォームは、現場で収集した動画データのシステムへのアップロードから、点検動画データの加工処理、画像診断AIによる解析、診断結果の管理まで一連の作業を自動化する。日立が独自開発したドローン運航管理システムも連携でき、ドローンで収集した点検動画データを自動アップロードすることが可能だ。これにより、データ移行時のデータ消失などのリスクが軽減されるという。
また、点検動画データからの静止画生成、画像選別や画像加工など、診断対象設備に依存せず共通的に利用可能な「共通機能層」と、設備ごとに異常診断するためのAIなど「個別機能層」で構成されているため、AIアプリケーションを個別開発するときの「長期稼働でのシステム運用が非効率」といった課題を解決する。
さらに同プラットフォームは、他事業者のAIとの接続を可能にするオープンなシステム構成となっており、AIベンダーやDXに関連するベンチャー企業などが参画することで、インフラ事業者にとってより高度な技術を取り入れることができるようになる。日立は複数のインフラ事業者を中心に実証を重ね、地域全体でのインフラ管理の効率化やコスト最適化を目指す。
日立は今後、オープンイノベーションの枠組みを活用し、共通的な課題意識を持つ地域企業や金融機関、自治体など、関連するステークホルダーとの連携を加速する考え。そして、さまざまな協創による継続的な価値拡充を通じて、地域の社会インフラ強靭化に向けたイノベーションの創出に取り組んでいく方針だ。