アイ・ティ・アール(ITR)は6月9日、国内運用自動化市場規模推移および予測を発表した。2022年度の運用自動化市場は前年度比19.1%増となり、2026年度の市場規模は111億円に達する見込みだという。
2021年度の運用自動化市場の売上金額は49億8,000万円、前年度比13.4%増となった。運用自動化の導入による運用の効率化が徐々に浸透し、新規導入ユーザーも増加傾向にあることから、2022年度も同19.1%増と引き続き高い成長が見込まれるという。
また、コロナ禍において運用自動化の必要性が再認識されたことを受け、今後さらなる導入が進むと見られ、新規参入ベンダーも徐々に増加していることから、同市場のCAGR(2021~2026年度)は17.4%、2026年度には111億円に達するとITRは予測している。
同市場をパッケージとSaaSの提供形態別に分類して見ると、SaaS市場の2021年度の売上金額は14億7,000万円とパッケージ市場に比べてまだ小さいものの、前年度比で48.5%増と急速な成長を示している。各種システムのクラウド移行が進んでいることから、運用管理についてもSaaSを利用する企業が増えているためだという。
CAGR(2021~2026年度)を比較すると、パッケージ市場が6.0%であるのに対し、SaaS市場は同34.2%と高く、2025年度にはSaaS市場の売上金額がパッケージ市場を上回るとITRは予想した。
ITRのコンサルティング・フェローである藤俊満氏は、次のようにコメントしている。「システム運用の世界では、AI技術や機械学習技術を応用したAIOps(AIによるシステム運用)の活用が検討されていますが、AIにシステム運用時の判断を任せるのは時期尚早との意見も多く、あらかじめ取り決めた運用ルールとプロセスに基づいた運用の自動化が現実解として普及してきています。システム運用の自動化は、要員の工数とコストの削減、およびオペレーションの品質向上が期待できるだけでなく、将来的なAIOps活用の準備にもつながることから、導入検討を推奨します」
なお、今回の発表は、ITRが発行する市場調査レポート「ITR Market View:運用管理市場2022」に詳細が掲載されている。