ペガサス・テック・ベンチャーズは6月8日、「スタートアップワールドカップ2022」の日本予選に関する記者会見を開催した。
「スタートアップワールドカップ2022」は同社が主催するビジネスピッチコンテストの世界大会で、今年で4回目の開催を迎える。約70カ国から予選を勝ち残ったスタートアップが9月にサンフランシスコで開催される決勝戦の場に集う予定だ。決勝の優勝投資賞金は約1億円。日本予選は6月10日まで出場企業を募集中で、国内からは約200社がエントリーする見込みだという。日本予選は7月21日に開催される。
日本予選では、応募企業から代表に選ばれた10社が登壇する。30秒間の企業紹介映像、3分30秒間のプレゼンテーション、1分30秒間の質疑応答の結果によって日本代表が決定となる流れだ。審査員が各企業の事業化の経緯や競合他社との比較、ビジネスプラン、プレゼンテーションの内容などを評価する70点と、視聴者によるTwitter投票の30点の計100点満点で審査が行われる。
また、今大会ではジャパネットグループとセガサミーグループからそれぞれ5000万円ずつの投資賞金が提供される。これらの2つの賞は各社の基準によって日本代表とは無関係に決められるため、代表に選考された企業が投資賞金を獲得するとは限らないようだ。日本代表が1憶円を手にする可能性もある。
記者会見に参加したジャパネットたかたの代表取締役、高田旭人氏によると、同社は「自前主義」の方針を掲げていることもあってか、他社との協業を不得手としているのだという。一方で、さまざまな社会課題を解決するためには自社の努力だけでは困難だと感じていたようだ。
「スタートアップ企業はそれぞれの強いビジョンで社会課題を解決してくれるはずなので、関わりたいと以前から思っていた。この大会の仕組みに共感したので、強いビジョンと戦略を持っているスタートアップを当社も本気で支援したい」と、ジャパネットグループ賞への賞金提供に至った思いを語っていた。
同大会の第1回で世界チャンピオンに選ばれたのは、なんと日本のスタートアップだ。ロボットやIoT(Internet of Things:モノのインターネット)機器を利用して育児にまつわる社会課題の解決を目指すユニファが受賞している。
同社は2017年の第1回スタートアップワールドカップ優勝を契機に、ディープラーニングビジネス活用アワード特別賞、AWS Startup Architectureなど、さまざまな賞を受賞している。2021年にはシリーズDラウンドの資金調達を実施し、国内外の投資家などから累計88憶円以上を調達しているという。シリコンバレーのベンチャーキャピタルにとどまらず、アジアの機関投資家など株主をグローバル化できたことが、大会優勝の副産物だったとしている。
ユニファの代表取締役を務める土岐泰之氏は「もう1つの大きな変化は人材採用だ。当社のエンジニアの約3割を海外人材が占めるまでになっており、国を問わず世界中のエンジニアを採用できるようになった。これからは世界に当社のプロダクトを広めていきたい」と、優勝後の経験を語っていた。
同氏はさらに「世界一なんて無理じゃないかと思う人もいるかもしれないが、当社もここまでなんとか事業を拡大できているので、ぜひ『我こそは』という起業家には応募してほしい」とエールを送った。