テクトロニクス社は6月8日、重さ1.8kgでバッテリ駆動も可能とすることで、自由な持ち運びを可能としたポータブルオシロスコープ「2シリーズ・ミックスド・シグナル・オシロスコープ(MSO)」を発表した。

  • ポータブルオシロスコープ「2シリーズMSO」の外観
  • ポータブルオシロスコープ「2シリーズMSO」の外観
  • ポータブルオシロスコープ「2シリーズMSO」の外観

同シリーズは、同社がこれまで提供してきた「4シリーズ MSO」、「5シリーズ MSO」、「6シリーズ MSO」といった次世代オシロスコープで培ってきた各種コンポーネントのモジュール化技術を活用することで、厚さ4cmの筐体に必要とする機能を詰め込み、重さも1.8kgに抑えたもの。

  • 本体の厚さは4cm

    本体の厚さは4cm。オプションのバッテリーパックをつけると厚みは約8cmとなる(重量はバッテリー2個搭載で3.6kgとなる)

ピンチイン/ピンチアウト対応の10.1型WXGAタッチスクリーン・ディスプレイを採用し、2チャネルもしくは4チャネルの波形を測定することが可能。UIは、これまでのタッチスクリーンモデルとほぼ同じものを踏襲しており、これまでの同社のほかのタッチスクリーンモデルのユーザーは違和感なく、シームレスに使用することが可能だという。

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  • 「2シリーズMSO」の主な仕様 (資料提供:テクトロニクス社)

チャネル数のほか、周波数帯域の違い(70MHz、100MHz、200MHz、350MHz、500MHz)で合計10モデルが用意されているほか、オプションとして、16のデジタル・チャンネル、任意波形/ファンクション・ジェネレータ(AFG)、 パターン・ジェネレータ、 ボルトメータ、周波数カウンタなども内蔵されており、順次、ソフトウェアのアップデートなどを経て、年内にはそれらの機能も利用可能になる予定としている。

また、解析機能として、波形/スクリーンによるカーソル測定のほか、36項目の自動測定、任意の等式編集、FFT解析を含む基本/拡張演算機能、アナログ・トリガ、バス・イベントを含む特定のイベントの検索、イベントに対応した各種アクションなども提供されるという。

さらに、別付けのバッテリーパックを装着することで、さまざまな場所で電源を気にせずに利用することも可能。バッテリーパックには2個のバッテリーが搭載可能で、2個のバッテリーで8時間の動作が可能と同社では説明しており、ホットスワップが可能なため、もう1個用意すれば、1個を充電している間に、残りの2個で動かす、といったことができるとしている。

  • バッテリーパックとバッテリー
  • バッテリーパックとバッテリー
  • バッテリーパックとバッテリー。バッテリーは充電レベルを把握することができるインジケータも搭載している

ちなみにバッテリー駆動が可能であることから、AC電源をUSB-PDにすることも可能ではないかという気もするが、USB-PDにすると、グランドにも電流が流れていく関係から、その安全性が確保できないということから専用のACアダプタを採用したとする(バッテリー駆動時はグランドへの接続が必要だともしている)。

このほか、VESAマウントへの対応に加え、スタンドとハンドルを兼ねたゴム製の専用保護ケースもオプションで用意。1mの高さの落下ダメージから本体を守ることが可能だとしている(スタンドやソフトキャリングケースなどもオプションで提供)。加えて、サービスオプションとして、落下による破損まで保証する3年間トータル保証サービス(ファームウェア・メンテナンスを含む)「T3」ならびに5年間トータル保証サービス(ファームウェア・メンテナンスを含む)「T5」も用意。T3は最大2回の修理対応が含まれ3万4700円(税別)、T5は最大4回の修理対応が含まれ6万3700円(税別)での提供となっており、同社も「フィールドで使う人も多いだろうということで、意図的に価格を抑えさせていただいている。ぜひ保証に入ってもらいたい」としている。

日本法人テクトロニクス社の代表取締役を務める瀬賀幸一氏は、「テクトロニクスは顧客の声を聞いて新製品を開発してきた。今回の2シリーズもそうしたものの1つ。会社の使命として、未来を作るエンジニアのイノベーションを全力で支援するというものがある。この製品も何百という顧客の声を聞いて、その集大成として開発された」と、2シリーズが開発された背景を説明。その出来に自信を見せ、「いろいろな顧客の要求を満たすものになっている。世の中を変えるゲームチェンジャーになると思っている」とし、エンジニアの将来のイノベーションを全力でバックアップしていく姿勢を強調した。

  • 日本法人テクトロニクス社の代表取締役を務める瀬賀幸一氏

    日本法人テクトロニクス社の代表取締役を務める瀬賀幸一氏と2シリーズMSO

なお、価格は2チャネルの周波数帯域70MHz品「MSO22 2-BW-70」で23万8000円(税別)から、4チャネルの周波数帯域70MHz品「MSO24 2-BW-70」で36万2000円(同)からとなっている。