米国のレモンド商務長官は6月5日(現地時間)、米CNNテレビのインタビューにて、半導体不足が2024年も続くとの見通しを示した。
以前、IntelのPat Gelsinger CEOがこのような発言をしていたが、それに同意するかとの質問に答える形での発言である。
社会のデジタル化の進展などを背景に半導体の需要が増加しており、供給不足解消に向け、短期的には半導体メーカーに対する増産呼びかけや、国際的で複雑な半導体サプラチェーンの透明度を上げる働きかけを行っているが、長期的な対策のためには、半導体製造への投資(520億ドル)を盛り込んだ法案が一刻も早く連邦議会で可決されることが必須であるとして議会に早期成立を呼びかけた。商務長官は、「なぜこんなに議会がもたついているのかわからないが(この法案を通して、米国でも最先端の半導体が製造できるようにして)軍事を含めたさまざまな分野の半導体を国産化することは火急の課題だ」と述べている。
また、同氏は先般、世界経済フォーラム(WEF)年次総会(ダボス会議)の際のインタビューにて、「米国で半導体強化法案の可決が遅れれば、Intel、TSMC、Samsungなどが海外で半導体工場を先に建設して、米国が出遅れてしまう」と述べていたほか、韓国訪問の際には「法案が成立したら、もっと多くの半導体企業を米国に誘致する」と述べていた。しかし、レモンド商務長官やバイデン米大統領のこうした要請にもかかわらず、いまだに該当法案の成立のめどは立っていない。
中国製品の一部関税引き下げを検討
なお、バイデン政権は約40年ぶりとなる高いインフレを抑えることを目的に、トランプ前政権が約3700億ドル(約48兆円)分の中国製品に課した制裁関税の引き下げを検討しているが、レモンド商務長官は、衣料品などの日用品や自転車などの消費財の関税引き下げは国民に理解が得られると思うので、政権内で議論を深めるべきと述べる一方で、米国内産業の保護を目的に、鉄鋼やアルミニウムなど中国政府が巨額の補助金を投じる産業の製品には関税を維持すべきとも述べている。こうした一連の発現の中にあって、半導体の関税には触れなかったが、現在の高い関税が維持される見込みだという。