旭食品は6月8日、2021年9月より導入している需要予測システムの成果を発表した。これによると、複数の熟練担当者が1人・1日あたり約4時間を要していた発注内容を判断するための調査やチェックなどの業務を約30分に削減でき、および欠品を約4割、返品を最大約3割低減できたという。

同社は、国内35カ所の物流倉庫における発注業務に対して、2021年9月から独自アルゴリズムにより需要を予測するとともに適正在庫量を勘案して発注推奨値を算出・提示するシステムの稼働を開始している。

これまでは熟練担当者が、過去の発注・返品・在庫量や天候、イベント情報などの複雑な条件を考慮して需要を予測した上で、経験・ノウハウを基に発注や在庫管理を行い、作業が煩雑であるとともに人に依存する部分が多かった。600アイテムに関する発注・在庫管理業務を日々行っており、従来、これらの業務に複数の熟練担当者が1人・1日あたり約4時間を費やしていたという。

  • 旭食品が導入した需要予測型自動発注システムの概念図

    旭食品が導入した需要予測型自動発注システムの概念図

同社が活用するシステムは日立製作所の技術を活用している。需要予測と在庫管理を連係させてデータを統合することにより、需要・在庫状況に即し、欠品・返品によるロスを抑え利益最大化となる発注量を自動計算することができるという。

また各拠点でアイテムごとの発注推奨値がシステムから勧告されるため、人が行う作業は発注量の確認と決定のみ。これまで各個人が外部Webサイトから手作業でダウンロードしていた得意先公開の受注速報値や気象データなどのデータ収集作業は、Webクローリング技術により自動化されたという。同システムにより、発注内容を判断するための調査やチェックなどの業務を約30分に削減でき、および欠品を約4割、返品を最大約3割低減できたとのことだ。

同社は今後、AIを活用した発注をDX化の一部と捉え、需要予測の導入拠点数を増やし、入荷・需要を事前に予測する考えだ。折りたたみコンテナおよびトラック積載効率の向上やシステムでの配車によるコスト削減を図り、資源や排気ガスの抑制を行っていくとのことだ。