メルカリは6月7日、東証グロース市場からプライム市場へ上場市場区分を変更したことを発表した。5月31日に東京証券取引所から変更を承認された。4月の東証再編以降、市場変更の承認は同社が初めてという。
同日開催された記者会見に登壇した代表取締役 CEO 山田進太郎氏は「この市場変更は、さらなる社会的信用の獲得や、国内外での知名度向上、取引先の拡大、優秀な人材の採用を可能にする。しかしプライム市場への移行は、ミッション達成に向けた1つの通過点に過ぎない」と述べた。
山田氏は中長期の投資方針を発表した。国内と米国で展開するフリマアプリ事業と決済サービス「メルペイ」を軸に、独自のEコマースプラットフォーム「メルカリShops(メルカリショップス)」、暗号資産やブロックチェーンに関するサービスを開発する「メルコイン」などの成長事業への投資を強化していくとしている。
「新たな価値を生み出す世界的なマーケットプレイスを作るために、引き続き大胆な挑戦を重ねていく。日本と米国以外の第3国への進出を通じてグローバル展開も加速させていく。メルカリは世界中で必要とされるサービスだ」(山田氏)
同社は先行投資費用の大半を、既存事業・新規事業のユーザー基盤の維持・獲得を目的とした広告宣伝費、ならびにプロダクト開発に関わる労務費(原価)に充てる。2022年6月期の広告宣伝費は前期比22%増の384億円、労務費は同9%増の118億円になると予測している。
具体的には、エンジニアの採用を継続的に強化し、メルカリでの出品の簡便化、メルペイにおける与信サービスの開発・改善、「メルカリShops」における機能改善、メルコインなどの新規事業、サービスなどの開発を進める。2022年夏頃をめどにIT人材の採用強化に向け、インドに開発拠点を設けるという。
山田氏は、「当社は海外のエンジニア人材の採用を進めており、国内エンジニアの半数が外国人だ。政府の水際対策は徐々に解除されているが、IT人材の争奪戦はますます激しくなっている」と危機感を示した。
経済産業省の調査によると、国内における不用品の推定価値は年間約7兆6000億円と推定されており、またメルカリの調査では潜在出品者が3600万人いることが分かった。米国では引き続き人口の増加が見込まれ、2020年に560億ドルであったオンライン・リユース市場は2030年に1960億ドルになると推測されている(出典:GlobalData market analysis and forecasts)。
「テクノロジーで個人と個人をつなぎ、限りある資源を循環させることで、人の持つ可能性を最大限に引き出し、より豊かに暮らせる社会を実現する。創業時からこの思いは変わっていない」(山田氏)