NTTドコモ(ドコモ)と日本電信電話(NTT)は6月6日、第6世代移動通信方式(6G)の2030年頃のサービス提供開始を目指し、富士通、NEC、フィンランドの通信設備大手ノキアの3社と6Gに関する実証実験で協力することに合意したと発表した。
6Gは、第5世代移動通信方式(5G)の高速・大容量、低遅延、多数接続の各性能をさらに高めるとともに、高速・大容量や低遅延などの各要求条件を同時に実現する「複数要求条件の同時実現」、100GHzを超えるサブテラヘルツ帯などの「新たな高周波数帯の開拓」、これまでの移動通信方式では十分なエリア化が難しかった「空・海・宇宙などへの通信エリアの拡大」、および「超低消費電力・低コストの通信実現」などに向けて研究開発が進められている次世代の移動通信方式だ。
6Gのサービス提供に向けては、5Gで利用されている周波数帯に加えて、6GHzを超えるミリ波帯やサブテラヘルツ帯などの新たな周波数帯を含めた広帯域にわたる周波数帯を有効活用するための技術やAI(人工知能)技術を活用した無線伝送方法など、多くの移動通信技術を検証する必要があるという。今回合意した主要ベンダーとは、新周波数帯での無線通信技術やAI技術の活用に焦点を当てて、実証実験を行う予定。
また、複数のサブテラヘルツ帯の多素子アンテナを分散配置し、それぞれの多素子アンテナと端末とが同時に電波を送受信しあうことを可能にする分散MIMO(Multi-Input Multi-Output)技術を用いることにより、直進性が高く障害物による遮蔽に弱い性質を持つ100GHzを超えるサブテラヘルツ帯での高速大容量伝送を実現するための移動通信技術の実現も目指す。
富士通との実験では、サブテラヘルツ帯の中で大きく周波数の異なる複数の周波数帯を活用した分散MIMO技術について検証実験を行う予定。利用する周波数帯としては、100GHz帯および300GHz帯を想定している。
NECとの実験では、高い周波数帯の活用に向けた分散MIMO技術と空間多重により大容量化を実現するという「OAM多重伝送技術」について検証実験を行う予定。利用する周波数帯は、分散MIMO技術の検証においてミッドバンドからサブテラヘルツ帯にわたるさまざまな周波数帯を想定している。
ノキアとの実験では、AI技術の活用によりさまざまな伝搬環境に合わせた無線インタフェースやサブテラヘルツ帯の無線伝送技術の検証実験を行う予定。利用する周波数帯は、サブテラヘルツ帯の無線伝送技術の検証においてベースは140GHz帯を想定している。
ドコモとNTTは今後、2022年度内には屋内の実証実験を開始し、2023年度以降に屋外の実証実験を開始する予定。実証実験の結果は、6Gに関する世界の研究団体での活動や国際会議、標準化活動などの中で、ドコモとNTTが提唱する6Gの技術コンセプトの検証結果として報告するとともに、より高度な技術の創出と確立に向けた検討においても活用していく考えだ。