清水建設は6月3日、施工エリアの広い土木現場における安全管理の高度化を目的に、8Kカメラで取得した超高精細映像をローカル5G(第5世代移動通信システム)で伝送し、リアルタイムで人や建設機械のマーキング処理を行う「超高精細映像転送システム」をトンネル工事に試験導入し、現場の安全管理における有用性を確認したことを発表した。

この取り組みは、総務省が公募した「令和3年度 課題解決型ローカル5G等の実現に向けた開発実証」の一環として実施したもので、清水建設、西日本高速道路、シャープの3社による共同実証。

具体的には、ローカル5Gを介して、作業エリア全体を撮影した超高精細な8Kストリーミング映像をクラウドへアップロードし、自動抽出した人や建機のマーキング処理をAI(人工知能)解析にて行い、管理者の目を注視すべき作業領域へに誘導した。

  • 超高精細映像転送システムの概要

    超高精細映像転送システムの概要

活用したシステムは、マーキング処理されたライブ映像の任意の箇所を高精細な映像のまま配信し、拡大表示する機能も備えている。ライブ映像は、PCやタブレット端末、スマートフォンでもWebブラウザを介して視聴できるため、遠隔地からでも現場状況を詳細に把握することが可能だったという。

  • 導入現場夜間作業状況へのAIマーキングの動作状況

    導入現場夜間作業状況へのAIマーキングの動作状況

実証期間終了後の工事関係者へのアンケート調査では、視認性が低下する夜間の作業環境下でも作業領域の認識が容易になるとの回答が91%、任意の指定箇所の拡大表示機能に関しても利用者の96%が有効であると回答。同システムの継続利用を希望する利用者は88%に達し、システムの有効性を確認することができたとしている。

同社は今後、同システムの人・建機に対する検出精度の向上や作業者へのアラート周知方法などの機能改善に取り組み、施工現場における安全管理の高度化を進めていく考えだ。