6月中旬から下旬にかけ、明け方の空に太陽系の惑星が勢ぞろいする。惑星は太陽の周りをそれぞれ固有の周期で公転しているため、夜間に地上から空を見上げて、一度に全てがそろうのは珍しい。国立天文台は「大変良い機会。肉眼で容易に見える5つを一目で見ることに挑戦してみましょう」としている。

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    惑星が勢ぞろいする(国立天文台提供)

例えば6月18日には、日の出(東京で午前4時25分)の1時間前には南に月があり、そこから東の地平線に向かって土星、海王星、木星、火星、天王星、金星、水星の順に並ぶ。惑星は太陽の周りのほぼ同じ平面上を公転しており、同じ平面上の地球から見るため、ほぼ直線状になる。

太陽系には地球を除いて7つの惑星がある。このうち明るさの点で肉眼で見やすいのは、水、金、火、木、土星の5つ。ただ水星は見えるタイミングにも空の低い位置にあり、開けた場所でなければ難しい。天王星の明るさは約6等で、よほどの好条件でなければ不可能。正確な位置を理解した上で、双眼鏡や望遠鏡を使うとよい。海王星は約8等で、望遠鏡が必要となる。

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    探査機や人工衛星が撮影した太陽系の星々の合成写真。左上から左下へ数珠つなぎに水星、金星、地球、火星、木星、土星、天王星、海王星。右上は月(NASA提供)

国立天文台によると、惑星が空に勢ぞろいするのは前回が2020年7月中旬の明け方、次回が25年2月下旬の夕方。ただ、いずれも互いに大きく離れている。今回は集まって並んで見える点で、特に条件が良いという。

実は6月3日時点で、既に明け方に全惑星が空に集まっており、7月上旬まで続く。ただ、太陽に最も近い水星の地球との位置関係や、日の出時刻の事情を加味すると、観望しやすいのは6月中~下旬だという。あいにくの梅雨時だが、好天の日を狙って早起きし、空を見上げて“太陽系グランドツアー”を妄想しては。

今年後半、特に注目したい天文現象は、11月8日の皆既月食(全国)、12月1日の火星最接近、12月14日頃に極大のふたご座流星群などが挙げられる。

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