ドイツのフランクフルトで開催されたISC2022で、第59回のTop500スパコンランキングが発表された。
今回、トップになったのは米国のOak Ridge国立研究所(ORNL)のFrontierスパコンで、LINPACKで1.102ExaFlopsを達成し1位になった。Frontierは伝統的なLINPACKの実行で1EFlopsを超え、名実ともにExaFlops時代に突入した。
その結果、0.442ExaFlopsの日本の富岳スパコンは2位に後退した。そして3位には0.1519ExaFlopsを出したフィンランドのLUMIスパコンが入った。
4位以降は、前回2位のSummit、Sierra、Sunway Taihulight、Perlmutter、NVIDIAのSelene、Tianhe-2Aと前回の1~9位が続いている。そして、今回の10位は新顔で、フランスのGENCIのAdastraスパコンが入っている。
今回の1位、3位、10位のスパコンは全てHPE CrayのEx235aで、ノード間の接続ネットワークはCrayのSlingshot-11である。
今回、新たに1位となったFrontierは、米国が開発する3台のExa級スパコンのうちの最初の1台である。CPUとしてはAMDの第3世代のEPYC 64コアで、クロックは2GHzである。Frontierは、さらに計算アクセラレータとしてAMDのInstinct MI250Xを付けている。
システムとしてはCPUとアクセラレータの合計で8,730,112コアを持ち、ピーク演算性能は1,685,651.46TFlopsとなっている。この場合のFlopsは64bitの倍精度浮動小数点演算1回の実行を1Flopsと数える。
これで1102TFlopsのLINPACK計算を実行速度であるので、ピーク演算性能の65.375%の演算実行性能となっている。LINPACK計算時の消費電力は21.1kWで、電力効率は52.23GFlops/Wとなる。
富岳はRmax/Rpeakは82.28%とFrontierより演算効率は高いのだが、Frontierの電力効率は2年の間に14.78GFlops/Wと3.5倍改善されており、富岳と比べるとFrontierは約70%の消費電力でおおよそ3倍のピーク演算性能を実現している。
今回3位となったフィンランドのLUMIスパコンは、LINPACKスコアが151.9TFlopsのHPE CrayのEX235aスパコンである。総コア数は1,110,144で、1位のFrontierのおおよそ1/8の規模のスパコンである。
今回は、1位が米国、日本が2位、3位がヨーロッパ、中国が6位と比較的あちこちに大型スパコンがバラまかれて設置されているという分布となった。一時は中国のスパコンが上位を独占するような傾向もみられたが、今回も中国のExaスパコンは登場せず、中国の存在感は後退した感がある。