産業技術総合研究所(産総研)は6月2日、電荷に反応して発光するセラミックス微粒子を発見し、目に見えない静電気を目視やカメラで可視化する静電気発光センシング技術を開発したことを発表した。
同成果は、産総研 センシングシステム研究センター(SSRC) センサー情報実装研究チームの菊永和也研究チーム長、産総研 SSRC 4Dビジュアルセンシング研究チームの寺崎正研究チーム長らの研究チームによるもの。詳細は、英オンライン総合学術誌「Scientific Reports」に掲載された。
静電気は放電やノイズを発生させるため、低電圧駆動の電子デバイスの誤作動を誘発するなど、電子デバイスにとっては大敵というべき存在である。しかし、いつ、どこで発生するのか、その実態を把握することが困難なため、その存在を知ることを目的に、これまでにもさまざまな静電気センサーが開発されてきたものの、そうしたセンサーの多くは表面に凹凸のある対象物の正確な測定は難しかったほか、移動している状態や測定環境が変化する状態での測定には対応できなかったという。
一方、発光材料は、さまざまな物理現象を観察するために多くの研究分野で利用されており、その種類もさまざまだが、これまで静電気によって発光する材料は開発されてこなかったという。そこで研究チームは今回、静電気で発光するセラミックス微粒子を用いて、肉眼でも静電気を観察できる可視化技術の開発に取り組むことにしたという。
まず、静電気で発光する物質を探索するため、電荷の移動による発光が知られている既知物質を系統的に調査。その結果、「SrAl2O4:Eu2+」が空気中のイオンや帯電粒子などの微弱な電気に反応して発光する静電気発光材料として利用できることが見出されたとする。