日本電産と中国の清華大学(中国、北京市)は電気自動車(EV)を中心としたさまざまな技術分野で共同研究・開発を推進する包括連携協定を締結したと発表した。
清華大学は21の学院と59の系を有する総合大学で、英Times Higher Education(THE)が発表する「アジア大学ランキング2021」において1位を獲得するなど、アジアでもトップクラスの大学として知られる。また、電気工学の分野においては2022年の「米U.S.News & World Report(U.S.News)」の大学ランキングで世界1位を獲得するなど、優秀なエンジニアを数多く輩出してきたほか、2021年4月には「集積回路学部(中国名は集成電路学院)」を設立、今後、半導体を専攻する学生を産業界に大量に排出することを目指すとしている。
一方、日本電産は、新中期戦略目標「Vision2025」において2025年度の売上高目標を4兆円としており、トラクションモータ(変速機、モーター、インバーターを組み合わせた電気自動車の駆動装置)を含む車載事業をその牽引役の1つへと育てたいという思惑がある。
今回の2者の連携は、共同研究・開発のみならず、将来的な投資、永守日本電産会長が理事長を務める京都先端科学大学も含めた連携も視野に入れて検討を行っていくとしている。
なお、精華大学は、EVのみならず半導体そのものの研究にも注力しており、2022年6月にハワイで開催されるVLSIシンポジウムへの応募論文(5Gトランシーバーチップ)が注目論文の1つに選ばれるなど高い研究レベルにある。
また、日本電産は、永守会長が、以前はルネサス エレクトロニクスに対する買収を検討していることを示したり、最近も5月16日付けで、川崎に「半導体ソリューションセンター」を設立し、半導体の内製化やファブ買収の検討を進めるなど、半導体に対する動きを見せており、今後、清華大学の集積回路学部とも共同研究を開始する可能性があると思われる。