キーサイト・テクノロジーは、6Gの研究開発にも対応する信号発生器のフラッグシップモデル「M9484C VXG Signal Generator」を4月27日に発表した。
同製品は、工場校正済みの周波数エクステンダを使用することで、最大110GHzまで対応(エクステンダ非使用時は54GHz)するほか、ボンディングを使用することで、2つのチャネルを1つのRF出力に結合して最大5GHzまでの変調帯域幅に対応できるため、さまざまなテストシステムのセットアップの複雑さを軽減し、正確で再現性の高いマルチチャネル測定を1台の測定器で実現できるようになると同社では説明している。
また、シャーシあたり最大4chに対応するほか、簡潔に拡張できるようにアーキテクチャを設計しているため、32chや64chといった大規模システムを構築することも可能だという。
こうしたさまざまな機能を実現できた背景には、独自開発により、8.5GHzバンド幅、14ビットを実現した次世代DDS(Direct Digital Synthesis) D/Aコンバータ(DAC)ならびに3GSpsの処理速度に対応しつつ、RFポートごとに8つのリアルタイム処理を可能とした次世代DSPエンジンを搭載したことが挙げられるという。
特にこの高速DACにより、スプリアスの心配なく、クリアな変調信号を出力することが可能となったとするほか、チャネルごとに8つのバーチャル信号を生成し、各信号ごとに異なるスペクトルを表示することが可能となったとのことで、従来、それぞれの信号源を用意し、物理的なコンバイナで合成していた手法に比べると、各段に簡単に信号を合成することができるようになるとする。
また、さまざまな補正機能も搭載。例えば、設定した電力に対したEVM(エラーベクトル振幅)をプロットする場合、信号の出力が高くなっていると、信号源の最終段がひずんでしまうが、同社のDPD(デジタル・プリ・ディストーション)ベースの補正を行うことで、歪みを低減することが可能であるほか、信号発生器の出力ポートにおいて、ベースバンド波形にリアルタイム補正フィルタを適用して振幅と位相を補正したり、信号発生器から被試験デバイス(DUT)までの周波数応答の補正、ウィザードによる補正データ取得の自動化、信号発生器のソースマッチを含めた補正など、測定系におけるケーブル、コンポーネント、スイッチによって低下しうる精度を低減することを可能としているという。
このほか、新たなGUIを採用。信号生成ソフト「PathWave」とリンクしており、必要となる構成をセットした後に、GUI上でアナライザ側を指定することで、ソース側で指定した信号をアナライザ側に渡して、簡単に調整することができるようになる「Smaetlinkage機能」が提供されたという。
なお、ベース価格としては800万円からとしているが、それぞれの用途に応じた構成が必要となるため、実際は個別見積りになるという。