戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)のスマートフードチェーンコンソーシアム 大項目3輸出プラットフォームは6月1日、ブロックチェーンを活用したスマートフードチェーンシステムのプロトタイプが完成したとして、本格的な実証実験を開始すると発表した。

同プラットフォームは「スマートバイオ産業・農業基盤技術」による研究開発モデル事業に採択されたプロジェクトを推進するため、三菱ケミカルがリーダーとなり、NTTデータ、沖縄セルラー アグリ&マルシェ、タキイ種苗、堀場製作所、ヤマト運輸など民間企業で構成されている。

同プロジェクトはブロックチェーンを活用したデータ連携によるスマートフードチェーンシステムにより、生産者の情報や輸送中の温度を適切に管理して日本の農林水産物や食品の意味的価値を向上させ輸出を拡大するとともに、フードロスの削減を目指しているという。

同プロジェクトが扱うスマートフードチェーンは生産現場や物流倉庫、小売店において、トレーサビリティ情報として輸送経路や輸送時の温度、衝撃の情報を取得する。これらの情報はブロックチェーン技術を用いて記録することで情報改ざんを防止する。NTTデータのBlockTrace for Cold ChainおよびDXプラットフォーム「iQuattro」を活用したトレーサビリティシステムに記録されたこれらの情報は、小売店での品質担保や消費者向けの情報発信にも活用できるとのことだ。

  • スマートフードチェーンシステムの概要図

    スマートフードチェーンシステムの概要図

さらに、RFID(Radio Frequency IDentification)温度ロガータグをスマートフードシステムの情報連携基盤となるスマートフードチェーンプラットフォーム「ukabis」と接続したことで、NTTデータが開発したブロックチェーンを活用したスマートフードチェーンシステムへの書き込みも可能にしている。

  • RFID 温度ロガータグ

    RFID 温度ロガータグ

スマートフードチェーンシステムは生産者や流通業者、消費者の情報連携を行うとともに、日本産食品輸出拡大においてグローバルな日本食品の価値向上にもつながると考えられる。また、サステナブルな製品への転換など、SDGsに資する市場展開を推進する役割にもつながると期待される。

  • ブロックチェーンによって期待される効果

    ブロックチェーンによって期待される効果