ファウンドリ大手のUMCが、シンガポールで建設を予定している新工場(Fab 12i Phase3)の用地使用権取得手続きを完了し、同工場建設開始のめどが立ったと複数の台湾メディアが報じている。

約11万平方メートルの工場用地の30年分の使用権をシンガポール政府機関のJTCから取得したという。借地代は毎月払うことになっているが、30年間の累積は9.54億NTドル(約43億円)ほどとされている。この新工場は既存のFab12iの隣接地に建設され、Phase3として運用されることになっている。

UMCでは、50億ドルを投じて、28/22nmプロセスを用いた第1期工事分として月間3万枚(300mmウェハ)のウェハ生産を計画している。生産は、TSMC(の子会社であるJapan Advanced Semiconductor Manufacturing:JASM)が熊本県に建設を進めている300mm工場と同様、2024年末までに開始される予定である。

不足が続く車載や通信機器向けといった先端プロセスを必要としない半導体の生産を担当する予定としている。また、UMCは台湾の台南市に建設中の新製造棟であるFab 12A Phase6でも28/22nmプロセスを採用する見込みである。

他社でも、TSMCが中国南京(Fab 16)や熊本の新工場、6月に着工予定の台湾・高雄市の新工場、シンガポールに建設を検討している新工場のいずれも28/22nmプロセスを採用することにしているほか、鴻海精密工業がマレーシアに建設を検討中の新工場なども同様に28/22nmプロセスを採用する予定で、2024年以降はこれらの新工場が一斉に立ち上がる関係で、28/22nmプロセス採用デバイスが供給過剰になる可能性が出てきた。

  • UMCの製造拠点一覧

    UMCの製造拠点一覧 (出所:UMC Webサイト)

なお、TSMCのC.C.Wei社長が、かつて決算説明会の席上、28nmプロセス製品は他社でも増産を計画しており、生産過剰になるのではないかとの投資家からの質問に対し、TSMCの熊本ファブ(JASM)は、スペシャルティ・テクノロジ・ファブとして、主に特定顧客のスペシャリティ・デバイス(例えばソニーのイメージセンサ)に関して長期的な売買契約に基づいて生産能力を決めているので、生産過剰になる心配はないと回答していた。