ディーカレットDCPが事務局を務めるデジタル通貨フォーラムにおいて、セブン銀行が幹事を務める小売り・流通分科会は5月31日、流通サプライチェーンにおけるデジタル通貨を活用した実証実験を2022年6月9日より開始すると発表した。
同実証実験では、小売企業とそのパートナー企業(メーカー・卸売)間での取引に伴う決済業務に、デジタル通貨DCJPY(仮称)を活用する。DCJPYは、同フォーラムが取り組んでいる二層構造を持つ「円建て」のデジタル通貨のこと。企業間での受発注から支払いまでの一連の商取引にブロックチェーンを使ってデータの真正性を担保しながらシステム上で完結させる。サプライチェーンに関わる業務の効率化、高度化に向けた効果検証を行う。
なお、同実証実験には、実施企業としてTISインテックグループのインテック、ツルハホールディングス、日立製作所、また、協力企業として花王グループカスタマーマーケティング、サイバーリンクスが参加する。
小売流通業界では、メーカーや卸売との商取引において、発注書、納品書、請求書などを企業間で電子的に交換するEDI(ネットワーク経由でビジネス文書を電子的に交換すること)が普及する一方、受発注システムは企業ごとに存在するため、請求書の確認や支払いにかかる事務処理は人手を介して行っており、担当者の負担となっているのが現状だ。
同実証実験では、担当者の負担となっている書類の照合・確認などの作業に対し、EDIとブロックチェーンを連携した環境上で、すべての取引データの真正性を担保した上で共有し、デジタル通貨を使って決済・送金を自動化することで、一連の流れをデジタルで完結させる。
商取引のデジタル完結による業務効率の効果を定量的に検証するとともに、連携環境を構築・活用する上での技術的な知見を蓄積することが狙いだ。商流から金流への流れを自動化するデジタル通貨の有用性の確認や、その基本機能の検証、技術的課題の整理などを行うとしている。