持続可能な宇宙環境を目指し、スペースデブリ(宇宙ごみ)除去を含む軌道上サービスに取り組むアストロスケールは5月27日、同社の100%子会社である英法人Astroscaleが、軌道上ミッションで役目を終えた複数の人工衛星を除去する衛星「ELSA-M」の技術革新に向け、1480万ユーロの資金提供に関する契約を締結したと発表した。
人工衛星は、天気予報、災害監視、GPS、銀行システム、ブロードバンドなどの重要なサービスで利用されており、衛星が稼働する宇宙の軌道環境が混雑すると、職場や家庭での円滑な生活が失われるリスクがある。また、軌道上に存在する物体の大多数はスペースデブリであり、アストロスケールはそれらを管理するためのソリューション開発を進めているという。
今回の資金提供は、2019年に欧州宇宙機関(ESA)とグローバルに衛星通信サービスを提供するOneWebが締結した官民パートナーシッププロジェクト「Sunrise(サンライズ)」の一環として行われた。
Sunriseは、衛星航行のための人工知能(AI)、新たなペイロード、そしてデブリ除去研究など、次世代技術の前進を支援することを目的としたプロジェクト。
今回の資金提供は、Astroscaleおよびその英国国内パートナーへの拠出であり、ELSA-Mの設計を完了させ、組み立て前まで製造を進めることを目的としている。
ELSA-Mは、地球低軌道で役目を終えた複数の人工衛星を一度のミッションで捕獲・除去することが可能で、ELSA-Mの軌道上実証は2024年末の実施を計画しており、その後に衛星運用者に向けてデブリ除去サービスの提供を開始する予定だという。