横河電機とNTTドコモは5月30日、5G(第5世代移動通信システム)を活用して、プラント(工場設備一式)を模したシステムのリモート制御を行う共同実証実験を行い、遠隔操作における5Gの実用に向けた有効性を確認することに成功したと発表した。

資源、素材、産業材料などの精製・精錬を行うプロセス産業のプラントは、長年稼働することで、各装置の経年変化が起きる。両社は自律的な調整能力や制御能力をプラントに持たせることを目指して実証実験を行った。

同実証実験では、横河電機と奈良先端科学技術大学院大学(NAIST)が共同開発した自律制御AI(FKDPP)をクラウドに搭載し、制御を検証するための装置である「三段水槽」を、5Gを介して制御できるかを検証した。「三段水槽」とは、段状に水槽が設置され、水が上段の水槽から下段の水槽に順に流れていく中で下段の水槽の水位制御を行うことを目的とした、制御トレーニング実験装置の一種だ。

  • 同実証実験のイメージ

    同実証実験のイメージ

目標水位を決めて、低速から高速の制御周期(どのくらいの頻度で制御を実行するか)での実験を行い、通信遅延がFKDPPによる制御に与える影響を調査した。実験の結果、特に高速の制御において5Gは4Gと比較して通信遅延が小さいこと、目標水位に対しオーバーシュートが小さいこと、0.2秒程度までの制御周期に対応しうることの3点が確認できたという。5Gがより良い制御を実現し、品質の安定や省エネルギーに寄与することを示せたとしている。

  • 5G・クラウド・AI を活用した産業における自律化のイメージ

    5G・クラウド・AI を活用した産業における自律化のイメージ

両社は、産業において5G活用を促進する団体「5G-ACIA(5G Alliance for Connected Industries andAutomation)」に加盟しており、プラントにおける5Gの有効利用について今後も検討し、活用を促進していく考えだ。